旅の空でいつか

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【秋企画】 読書の秋

  1. 2010/10/08(金) 23:36:03|
  2. 企画!
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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春です*^^*

【秋企画】シリーズです。
ひたすら、「本 LOVE☆」というだけの文章。。。

ちょっと、連日アップが続いております。
ステキ絵が埋もれて行ってしまっているのがちょっと悲しい……
……ですが、明日もまた次のお話しアップしますー・v・♪

なぜなら、またまた長野に旅行に行って来るから☆
伝統の奉納花火……火祭り、見て来ます*^^*


ではでは、
《続きを読む》からおすすみください☆


***************



(ちょっと文字、見えなくなってきたな……)

ふ、と気付いて窓を見上げると、
外はもう、すっかり夕焼け景色になっていた。
黒板の上の時計の針は、もう、5時を過ぎている。
これでは文字も読めないはずだ。

しっかりとしおりの紐を挟んで本を閉じると、
両腕を頭の上で組んで、ぐぐぐ、っと背伸びする。
鎖骨と背中のあたりがかすかに、軋んだようだった。

首も回してから、あたりを見回す。
誰もいない、明かりもついていない静かな教室。
窓の外には、夕暮れのグラウンドと、体育会の部活にいそしむ生徒の声。
吹く風は少し、肌寒い。

(……帰ろ)

思ったけれど、テキパキと動いてしまうのがもったいない気がして、
なんとなくゆっくりと息を整えて、
特に何を見るでもなく、グラウンドを眺めてみる。

「……」

それから少しして、やっと、僕は立ち上がる。
読んでいた本の表紙が折れたりしないように、丁寧に鞄につめてから、
制服の一番上のボタンを閉めて防寒対策をして、教室を出る。
そういえばお腹すいたな、とか、そんなことを考えながら。



***************



2学期に入ってからと言うもの、
僕は、よりいっそう、趣味の読書に励んでいた。
だって、読書の秋だ。
涼しくなって、
日差しも、なんだか空の色も優しくなって、
まさに、読書にはピッタリの季節だと思う。
……別に、秋じゃなくたって読書はスキだけど。


僕は、本を読むのがスキだ。
それはもう、昔から。
姉と違って僕は、別に学校の成績がいいわけではないのだけれど、
文字を覚えるのだけは、
周りの人たちよりも、随分と早かったようだ。
小学校に入る前にはもう、低学年向けの本であれば読めていた。
それくらい小さい時から、
本は僕にとって、そばにあるのが当たり前の存在だったのだ。

(……今日の空、すごいな)

電柱や建物に遮られた空だけれど、
夕焼けの強いオレンジと、黄昏時の先にあるような、強い紺色と。
対抗しているみたいな2色なのに、
混じり合って、解け合って、ひとつの空をつくっている。
ちょっとまえに読んだ本にたしか、こんな景色のことが書いてあった。

なんの本だったっけな、と思い出しながら、
ゆっくり、僕は家路を歩く。

本が好きだ。
1冊の、あの紙の束の中に、信じられないほどに様々な世界がある。
白と、その上に黒の線で「文字」という記号が連なっているだけなのに、
どうしてあんなに、色とりどりの世界があるんだろう。
僕にはそれが不思議で、奇跡的なことみたいに思えて仕方がない。

本が好きだ。
でももっと正確に言うと、「文字」や「言葉」や、その連なりというもの自体が、好きなのかもしれない。

ただの記号であるはずの文字や単語は、
僕には、色のついた光の粒に見える。

たとえば「春」は、桜のピンクと空の青。
たとえば「冬」は、雪の白と、霜を生やした土の黒。
「林檎」だったら、やさしい黄色と蜜の色。
文字を見るだけで、色が見える。

いつの間にかオレンジが消えて、
月も星も白く輝きだした空を見ながら、
あぁ、本は夜景に似ているな、なんてことも考える。

真っ暗な中に、一粒ひとつぶの光を散らして、ひとつの物語を形作る。
本と一緒だ。

全ての一粒の光はそれぞれの物語を持っていて、
その光の粒が集まって、
かさなったり、つながったり、消えたり、また明るくなったりしながら存在している。

家族でキャンプに行ったりすると、
姉はよく、夜景なんかより星空の方が好きだ、と言っているけれど、
ぼくは逆。
大都会の、溢れるような夜景が好きだ。
あの明かりのひとつひとつに物語があるんだと思えば、
だって、愛おしくて仕方がない。


……そんなことを、考えていて。

(あ、通り過ぎてた)

3ブロックほど、家を通り過ぎてしまったことにやっと気付いて、
今日の晩ご飯は何だろう、なんてことを考えながら、
ぼくは、元来た道を戻るのだった。



***************



晩ご飯は、僕も姉も大好きなクリームシチューだった。
僕とは正反対の性格の、
活発さと行動力がウリの姉が、少し大盛りにして、僕の分もよそってくれる。

最近姉は、髪型を変えた。
長かった髪をバッサリ切って、しかも、色はド派手な金色だ。
最初は「どうしてそうなった」と思っていた姉の髪型も、
数日すれば見慣れてしまうもので、
今では普通の景色だ。

姉は、いつもそうだ。
僕とは違って学校の成績がよくて、
スポーツが好きで、言葉のキレもいい。
そしてとにかく、抜群の行動力があるのだ。

「アカネちゃんが男の子で、アオイくんが女の子だったら丁度よかったのにねぇ」

昔から、近所やら親戚やらの大人たちに、よく言われていた。
大人だけじゃない。
姉は生徒会なんてものもやっていたから、学校では有名で、
だから、友人たちにもよく、そんなことを言われていた。
気にしていないのは、両親たちくらいのものだった。

(いや、ミツキもそうか)

特に仲がいいわけでもなく、むしろあまり喋ったこともないのだけれど。
同じ高校の、同じクラスのヤツだ。
別に特に仲がいいわけではないのだけれど、なんとなく、彼女は面白い。
特段変わったヤツ、なわけではないけれど、
いつも、どっか違うところを見ているみたいで、なのに、妙に鋭いのだ。

休み時間にも放課後にも、教室で一人で本を読む男子、というのは
世間的にはあまり、カッコイイものではないようだった。
今は仲のいい友人たちも、
4月の頭は僕のことを、それでからかってきたりもしたものだった。
そう、ミツキ以外は。

ちなみに、友人たちが今僕にしている評価は、
「本好きのクセに、意外と大人しいばっかのヤツじゃない」というものらしい。
別にどう思われたっていいけど、
でも、「読書好きは大人しい」というのは、たぶん、間違いだ。

だって本は、入り口だ。
本の世界は、コッチの世界と繋がっている。

コッチの世界から脱出するためのものではなくて、
自分以外の存在に、人生に触れて、
そして自分の世界で、それを活かしていくためのものだ。
読書好きはむしろ、活発な人間であるとさえ、僕は思っている。

……まぁ、それにしたって、姉ほどの活発さではないだろうけど。

ふと思いついて、僕は姉にたずねてみる。

「あのさ、姉ちゃんて、なんでそんな活発なわけ? なんでそんな行動力あるの?」

姉の行動力とスピードは、筋金入りだ。
なにせ「学校がつまらない」ことを自覚したらしい翌週には、学校を辞めることを決めていて、
その週のうちに退学届を提出している。
迷いのないスピードだ。

活発とか行動力とか、別にイイコトばっかじゃないよ?
そう前置きしてから、姉は言った。

「コツはね、『やりたい』って思ったら、自分の気持ちに気付いたら、
 考える前にまず、動いちゃうこと。……かな?」

(行き当たりばったりかよ!)
思いながら、それで失敗とかしないの? とも聞いてみる。

「失敗くらいもちろんあるけど、その気持ちが“本心”なんだったら、
 たぶんね、致命的なミスにはならないよ。
 致命的なミスなんだったら、たぶん、自分で言語化して意識する前に、
 ちゃんと頭とか気持ちとかが、先にそれ感じ取って、ストップかけてくれるから」

「……」

本当に、そうだろうか。
だって、いくら考えてもリスクなんてないはずなのに躊躇してしまうモノだって、確かにあるはずだ。

……でも。

シチューを食べながら、思う。

季節は秋。
せっかくの、読書の秋だ。
「どうしてこうなった」と思うほど意外だったはずの姉の姿は、今ではもう見慣れたものになっている。

だったら、「僕もそれ、やってみようかな」と思う。
僕がいま、やってみたいこと。
少しだけ勇気のいること。
学校を辞める、なんて突拍子のないことをするだけの意欲は、全然、ないのだけれど。
「あれ、アイツが?」って、みんなが少し、思うかもしれないこと。

「……」

思いついたら、楽しくなってきた。
そうだ。そうしよう。

考えながら僕は、器のシチューをかきこんだ。



***************



翌朝。
僕は、ひとつの挑戦をした。

生まれてはじめて、学校をさぼった。

少しドキドキしながらいつも通りに制服を着て、
いつも通りに指定の鞄を持って、
そしていつも通りの時間に、家を出た。

けれど進む方向は、いつもと逆。
そして目指す場所は、学校ではなく、地元の図書館だった。

友人やら近所の人やらにバレないように、
早歩きで歩いて、図書館を目指す。

早歩きはいつの間にか急ぎ足になって、やがて、小走りみたいになる。
朝の風は涼しくて、太陽の光もまだ力強くはないはずなのに、少しだけ汗ばんで、
そして僕は、図書館の前についた。

建物の中はまだ、暗い。

「……」


あぁ。
図書館が開くまで、そうだ、まだ時間があるんだ。


せっかく急いで、小走りになってやってきたのに、
なんだか肩すかしをくらった気分だった。

仕方がないから、正面の植え込みに腰掛けて、
両腕を頭の上で組んで、ぐぐぐ、っと背伸びする。
鎖骨と背中のあたりがかすかに、軋んだようだった。
首も回してからあたりを見回すと、
けれど、いつもより景色が明るい気がして、
今日は学校をサボってやったぜ! という、
小さな達成感のようなものが、いっぱいに広がった。


いい気持ちのまま目を閉じて、深呼吸した。
晴れた朝の、澄んだにおいがする。

図書館が開いたら、
今日は一番ノリで、静かな本の海に潜っていけるのだということを考えると、
ますます、楽しい気持ちになった。

紙のにおいをいっぱいに吸い込んで、
そこかしこから聞こえるだろう物語の声に、耳を澄ます。
そんな一日を今日は、過ごすのだ。
……今日は、どんな世界と僕は出会えるんだろう。


ゆっくりと息を吐き出すと、
僕は目を開けて、図書館の入り口に視線を向けた。

読書の秋は、はじまったばかりだ。



***************

(to be continued...)


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comment

  1. 2010/10/09(土) 23:41:35 |
  2. URL |
  3. ゆさ
  4. [ 編集 ]
こんばんはー☆

本、大好きです…アオイくんにすごく共感です!
わたしも、読書後の背伸びはよくやりますし(気持ちいいですよねvvv)、
考え事をしつつ(妄想とも言う・笑)ボーっと歩いてしまって
どうやって家に帰ってきたのか覚えていないことがあります。
危ないですね。。。(^ ^;)
ミツキさんがどんな人か気になります…。

アオイくん、アカネちゃんの弟くんだったのですね。
ということは、このシリーズは何らかの形で、どこかで繋がっていくのでしょうか??(^ ^)
楽しみです。

  1. 2010/10/10(日) 00:12:22 |
  2. URL |
  3. 遠野秀一
  4. [ 編集 ]
こんばんは、遠野です。

アカネちゃんの弟君ですねw
やっぱり姉弟なんだなーって感じの行動力です。
図書館行ってみたら閉まってたってのは
よくありますよね。気持ちわかりますw

あと、マジカルアワー好きですねw
あれは待ち構えてないと見れませんね。
気付くともう暗くなっていて「あぁ~……」とww

Re: ゆささん

  1. 2010/10/10(日) 01:23:45 |
  2. URL |
  3. [ 編集 ]
ゆささん、こんばんはー☆^^☆

> 読書後の背伸び
あれ気持ちいいですよね^^
ノビとかストレッチってすばらしいです!
……でも考え事(妄想)は、夜の帰り道とかには気をつけて下さいね> <笑

> このシリーズは何らかの形で、どこかで繋がっていくのでしょうか??(^ ^)
つながる、というほどはつながらない、……かな?
微妙~~~な感じです。。。・v・

まるっきり話変わりますが、
私、民族衣装は大好きですので!!!!(と、ここでも主張してみる)

コメント、ありがとうございました☆

Re: 遠野秀一さま

  1. 2010/10/10(日) 01:32:55 |
  2. URL |
  3. [ 編集 ]
こんばんはー!!

はい、弟君です☆
図書館行ったら閉まってた。←ありますよね、えぇ……。
待ってて開いてくれるならいいですが。

> あと、マジカルアワー好きですねw
好きです☆
「朝と昼の間」とか「夕方と夜の間」とか、何かの間が好きなのです*^^*

> 気付くともう暗くなっていて「あぁ~……」とww
「今綺麗だよ!」って言われて見に行っても、もう別に…って感じだったりしますよね。
あの「そんなに簡単に私の姿が見られると思ったら大間違いよ?」的な感じもステキです。

コメント、ありがとうございました☆

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