旅の空でいつか

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『日のあたる場所で』 ★絵祭り作品掲載★

  1. 2010/05/25(火) 00:02:39|
  2. ★完結★ 『アルファベットの旅人』シリーズ
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※作品一覧はコチラです

in_a_sunny_place_bytounosan
「あんた、名前は?」
「アスミ。……きみは?」
空気が震えた。
彼は少し、笑ったようだった。

(「Touno's soliloquy painting」の遠野さまより、『in a sunny place』)

※最終回です。
 すごく長文ですので、ご注意を> <

本編は《続きを読む》からスタートです!

***************



気配に気づいて、
彼女はうっすらと、目を開けた。

「……悪い。起こしたか?」

声が聞こえた。
聞き覚えがある。
そしてこの気配も、たしかに、知っている。

彼女は小さく、
笑顔をつくって、首を振った。

「大丈夫。ちょっと、うとうとしてただけだから。
 きみに会いに行くまでは、……旅の途中ではこんなこと、なかったんだけど。」

再び、声が聞こえた。

「あんた、名前は?」

「アスミ。……きみは?」

空気が震えた。
彼は少し、笑ったようだった。

「おれの名前は今日、今、できた。
 ……何かなんて、きくなよ? 名付けたのはあんただ。」

アスミはまだ少し眠そうに、
けれどとても嬉しそうに、笑った。



***************



彼がそこに辿り着くまでに、
3年の月日が流れていた。

アスミはすでに、視力を失っていた。
彼の記憶の中の姿よりも、少しだけ、髪が伸びている。

一方彼は
髪を短くして、帽子のかわりのように、頭に布をまいている。
彼の持つ金色の髪は、
仕事中はとても役に立つものだったけれど、それ以外では、不便なものだ。
綺麗だ、と褒めてくれる人間は多かったけれど、
目立ちすぎるのは、彼の望みではなかった。


人が多く、綺麗に舗装された道は広い。
そんな都の、その郊外に
アスミと家族は住んでいた。
静かな住宅地で、
豊かな芝生に囲まれた家が、たくさん並んでいる。


その場所を突き止めるのは、難しいことではなかった。

盲目であること。
今はもうその仕事はしていないけれど、
国家認定の、医師の資格を持っていること。
それから、
自分がかつて、「商品」であったこと。

彼女はそんなことのひとつひとつを、
何一つ、隠すことなく
今の仕事に就いていた。

だから彼には、
彼女の居場所を突き止めるのは、とても簡単なことだった。
けれど3年の月日がかかったのは、
ただ彼に、その準備ができていなかったからだ。

3年、かかった。



***************



まだ微睡んでいるアスミの元を一旦離れると、
彼の訪れを出迎えた彼女の養父母は、
興味深そうに、彼を囲んだ。

養父が、温かいお茶を運んで来た。

「ありがとう」
夫から手渡されたそれに、妻が笑顔で答えた。

いつもはひどく忙しいという彼女の養母は、
けれどこの日、めずらしく、
夫と、子どもと、一緒に休日を迎えることができていたのだ。
「いいタイミングで来てくれたね。」
訪れた彼に向けて、養父が言う。

「この街には、いつ、ついたの?」

そう尋ねれば、
「今朝」と、彼は短く、そう答える。
入れてもらったお茶を一口飲んで、
それで一息ついてから、言葉を続けた。

「今朝、つきました。
 ついてそのまま、まっすぐ、ここへ。」

時間はもうすぐ、昼時を迎える。
昨夜、すぐ隣の街までついて、
そこの宿を出てすぐに、ここまでやって来たのだと、彼は言った。

ありがとう。
ぼくたちも会いたかったんだ、ずっと、君に。
夫婦は、そう言って彼に、頭を下げた。

苦笑して恐縮する金髪の彼に、
養父が尋ねた。

「……それで、きみの名前は?」

尋ねられて彼は、
ほんの少しだけ照れた様子で、
けれど嬉しそうに笑って、答えた。

「……ヒナタです。
 あなたたちの子どもが、彼女が昔、プレゼントしてくれました。」

そう言って僅かに微笑むヒナタに、
夫婦もまた、笑顔を返した。

「おれは、これを彼女に……アスミに、返しに来たんです。」

そう言ってヒナタは、
夫婦の前に、1枚のプレートを差し出した。

「あぁ、これは……。」

見覚えのあるそれに、アスミの養父母は顔を見合わせる。

「3年前まで住んでいた街と、それから、街を出てからしばらくの間。
 すみません、その金、使わせてもらっていました。」

プレートを差し出しながら、
ヒナタは、ゆっくりと話す。

「街を出て少ししてからは、おれにもできる仕事が見つかって、
 だからそれまでにお借りしていた分もちゃんと、戻してあります。」

本当に、すごく、助けられました。
そう言って頭を下げるヒナタに、
アスミの養父母はもう一度、顔を見合わせると、
そのプレートを、差し出し返した。

「……これは、あなたが持ってなさい。」

養母が微笑みながら、言った。
驚いて、首を振ってそれを受け取るまいとするヒナタに、
彼女はさらに微笑んで、言う。

「今日は休日で、銀行も休みだから。
 ……じゃあ、とりあえず、今はあなたが持っていなさい。」

有無を言わせない、
良く言えば意思の強そうな、
つまりは、ひどく頑固そうな笑顔だ。

「いや、あの……」

言葉を探して言いよどむヒナタに、
「あっ! そうだ、ねえ!」と、
満面の笑顔になって養父が、声をかけた。

「あのさ。
 きみ、ちょっと、ぼくと一緒にお散歩しない?」

「え?」

「聞かせてよ、きみの話。いろいろさ。」

「ね?」と、嬉しそうにそう尋ねてくる養父に、
ヒナタは少しだけ笑って、頷いた。



***************



アスミの養父と道を歩きながら、
ヒナタは、今までの話をする。

自分は、どんな旅をしてきたのか。
どうして旅に出ようと、考えたのか。

話しながら2人は、
ゆっくり、ゆっくりと歩いた。

都の郊外に位置するこの街は、
広くて、明るくて、
そして、とても静かだ。

穏やかに、ゆっくりと時間が流れている。

この街で、
この養父と、あの養母とに育てられて、
それでアスミは、あんな風に育ったのか。

なるほどな、と、
ヒナタは納得する。

この穏やかで明るい、
確かに、豊かに人々の生活している空気に満ちたこの街は、
アスミの持つ空気に、とてもよく似合っている。


「ねぇ、お腹すかない? 美味しいお店があるんだ。」

養父が言った。

「はい、ぜひ。」

たしかに、お腹がすいてきた。
ヒナタは頷く。

そこから、少し歩いて辿り着いた店で
2人はオープンテラスに通された。

「ぼくね、料理するの好きでさ。
 正直、ぼくの料理の方が、そのへんの店よりもずっと美味しいとは思うんだけど、
 でもここのお店は、ちょっと特別なんだ。」

養父は笑顔で言う。

「きみ、料理はする?」

ヒナタは、苦笑して答える。

「いえ。おれは料理は、全然。」

「じゃあ、きみも覚えるといいよ。
 楽しいし、食べた人に喜んでもらえるっていうのは、けっこう、嬉しいものだよ。」

その店では食事が運ばれてくる間、
アスミの養父の知人らしき人物がよくあらわれて、2人に声をかけた。

そのたびに養父は笑顔で手を挙げて答えて、
けれどヒナタは、頭に被せた布をさらに深く、下げた。
会釈を返すのは、忘れなかったけれど。

声をかけて来た養父の知人はみな、
養父の職場の人間のようだった。

ヒナタは、頭に巻いた布を深く深く被せて、
……けれど、養父の職場の人間だという彼らから、目を離せないでいる。

そんなヒナタの様子を、
少し、不思議そうな表情で見ている養父に気づいて、
ヒナタは小さく、苦笑する。

「警衛士のお仕事、されているんですね。」

そう言うヒナタの言葉に頷いて、養父は尋ねる。

「うん。万年、下っ端だけどね。
 ……きみ、ぼくたちみたいな仕事の人、もしかして苦手?」

ヒナタは、苦笑したまま答える。

「はい、実は。
 ……たぶん、あなたたちが聞いたら驚くような、
 “警衛士”なんて仕事の人たちを一番避けなきゃいけないような、
 そういう場所でずっと、暮らしていましたから。」

その言葉に、今度は養父が苦笑する。
アスミからは、探していたこの少年と“どこで”出会えたのか、
その話は聞けていなかった。
アスミがいつも、言葉を濁していたからだ。

そんなやっかいな、つまりは危険な場所に行っていたのかと、
当時のアスミの
無鉄砲なほどの行動に、少し、複雑な気持ちになる。

本当に、よく、無事に帰って来てくれたものだと
今さらながらに、思う。

同時に養父は、
目の前の金色の髪の人物にも、想いを馳せる。

そんな場所にずっと、とらえられていたのだ。彼は。

彼もよく、
本当によく、無事に命をつなげたものだと思う。

「……」

そんなことを考えている間に、料理が運ばれてくる。
養父は、胡椒を効かせた、少し強めに炒めたスパゲティを。
ヒナタは、こちらも胡椒を効かせた、チーズの香るリゾットを。
どちらのメニューにも、
新鮮な野菜を使ったサラダの小皿と、キャベツとベーコンを煮込んだ温かいスープがついてくる。

「それじゃあ、いただきます。」

どちらからともなくそう言って、2人は料理に手をつける。

不思議だな。
ヒナタは思った。

あの街を出てから、こうして誰かと食卓を囲むのは
とても、久しぶりだった。

しかも目の前にいるのは、アスミの養父で。
それなのに、こんなに、穏やかな気持ちで。

(……いい街だな。)

オープンテラスだから、
外の景色は、よく見える。

綺麗に植えられた街路樹が、風にその葉をそよがせている。
どこかから、鳥の鳴く声も聞こえる。

「いい街ですね。」

ヒナタがそう言えば、
アスミの養父は笑顔で、頷いた。

キッチンからは、また別の料理のにおいが漂う。

いい街だ。
ヒナタはもう一度、そう呟いた。



***************



食事を終えた2人は、
また、街中を歩き出した。

ヒナタは、話し続ける。

自分は、どうやら耳がいいらしいのだ、という話をした時には、
アスミの養父は少し、首を傾げた。

金色の髪に、青い瞳。
自分のような特徴を持った人間の中には、
生まれつき、耳のよい人間が多いのだと、ヒナタは説明する。

「ある街で、ぼくと同じ血筋を持った、歌手の女性と、会いました。」
間違いなく、アスミたちも出会った女性だと、ヒナタは言う。

「アスミが出会った女性だと、すぐにわかりました。
 彼女は、……おれのもとに来る前の、アスミたちのことを、歌っていました。」

「へぇ! それはすごい!」
うちの子が歌になるなんて、と喜ぶ養父に、ヒナタは笑顔で言う。
「おれにとっても、その歌は……すごく、衝撃でした。」

彼女の容姿の美しさも、その歌の、歌声の美しさも、
もちろん、衝撃ではあったのだけれど。
けれどヒナタにとって、もっと大きな衝撃だったのは、
その、歌の内容だった。

その歌に出会ったのは、
ヒナタがまだ、旅をはじめてひと月も経っていない頃だった。

騒がしい酒場の片隅でその歌を聴いて、
すぐにそれが、自分にも関係のある歌だとわかって、
そしてヒナタは、知った。

アスミの、彼女たちの辿った道のりを。
彼女の思いや、強さや、弱さも。

アスミの思いの強さには尊敬したし、
その弱さには、
自分にもたしかに同じような覚えがあって、胸が痛んだ。

そして彼女が、羨ましくなった。
彼女と自分とは、あまりにも、対照的だと思った。

自分も、あともう少し、「買われる」ことなく時間を過ごせていれば、
彼女と同じような生活を、送ることができたのだろうか。
そう考えると、
羨ましくて、悲しくなって、そして、とてもみじめだった。

そのときの感情は今も、
ヒナタは、忘れていない。

「その歌を歌っていた歌手が、
 舞台の上からおれを、見つけてくれて、声をかけてくれて。
 それでしばらくおれは、その店で、働くことになったんです。」

へぇ!
アスミの養父が相づちをうった。

ミーナと名乗ったその歌手は、
ヒナタがアスミの探していた少年だと知って驚いて、
アスミと一緒ではないことを悲しんで、
そして最後に、喜んでくれた。

「ごめんね」と「よかった」を繰り返して、
泣きながら、喜んでくれた。

ヒナタにはわからなかった。

なぜ目の前の女性が、涙を流しているのか。
なぜ自分のことで、こんなに喜んでいるのか。

わからなかったし、その時のヒナタには、
自分のために涙を流すその女性に対して、
何も感じることができなかった。

だからただ、不思議だった。

……今から思い出せば、
こんなにも、あたたかい気持ちになれると言うのに。

「彼女の勧めもあって、その店でおれも、演奏をすることになったんです。」

「じゃあ、きみも歌手なの?」

わかりやすく顔を輝かせて言う養父に、ヒナタは苦笑する。

「いや、残念ながらおれ、歌えないんです。
 っていうか、どうやら、音痴みたいなんです。壊滅的に。」

ミーナにも、驚いた顔をされた。
“耳がいい”のは確かなのに、どうしてそうなるのか。
不思議そうに首をひねるミーナだったけれど、けっきょくは、
ピアノだったり、手のひらにおさまるほどの小さなサイズの笛だったりの演奏を覚えて、
一緒に舞台に立った。

演奏の仕方は、すぐに覚えた。
上達も早かった。
けれど舞台に立てるようになるまで、ヒナタには時間が必要だった。

半年かかった。
だから彼女の元には、随分と長く、滞在していたことになる。


人前に立つこと。
舞台に立って、ライトに照らされること。

ヒナタは忘れていなかった。
幼い頃、随分と長い間自分が、
そういった環境におかれていたこと。

だから最初に舞台に立つことになった時は、吐いた。
震えが止まらなくて、
涙も止まらなかった。
そんな風になるなんて、ヒナタ自身にも驚きだったのだけれど。

無理はしなくていい、といったミーナに、
けれどヒナタは首を振った。
悲しいくらいに、悔しかったからだ。

そうして、
半年かけてやっとヒナタは、舞台の片隅に立てるようになったのだ。

ヒナタに直接、ライトは当てない。
舞台の片隅で、暗い中でただ、音を出す。
それだけだった。

ヒナタが髪を短くしたのは、
はじめてちゃんと、舞台に立てた日のことだ。

髪を短くして、帽子の変わりに布を巻いた。
それからはそうして、目立つ自分の髪を隠して、舞台に立った。

数回、無事に舞台に立つ経験を積んだあとは、
あとはもう、問題はなかった。
ヒナタの演奏を耳にして、次第に彼のファンになる者もあらわれ始め、
それから彼は、頭に巻いた布を外した。
ミーナと同じ髪の色と、
布を外したせいで見えるようになった瞳の色、そして造詣の美しさに、
観客たちは色めき立った。
ヒナタは一躍、人気奏者となった。

「……でも、結局そのあとすぐ、おれ、そこやめちゃったんです」
苦笑したまま、ヒナタは言う。

一度顔をさらしてしまったそのあとは、
ヒナタに注がれる目線の強さは、それまでとは比較にならないほど、大きなものになった。

「さすがにそれには、耐えられなくて。」

それで結局、ミーナには別れを告げ、
ミーナからは餞別にと、ずっと使っていた笛を渡されて、
ヒナタはその街を去った。

「これです。」
言ってヒナタは、肩に下げたすり切れた鞄から、小さな笛を取り出した。
手のひらに簡単におさまってしまうその笛は、
それでも1オクターブ以上の音を出せるのだと言う。

ド、レ、ミ、と、
ヒナタは少しだけ、演奏して見せた。
近くを通りがかった者たちがその音に振り返り、
気づいたヒナタは、やわらかく笑って、会釈して見せた。
帽子のようにして被っている布のせいで
ヒナタの顔の全てを見ることはできなかっただろうけれど、
会釈された者たちはみんな、ヒナタにも、笑顔で会釈を返してくる。

「あの街では、本当に、いろいろなことを学びました。
 おかげでおれは、旅をしながら、自分で稼ぐ術を、身につけることができたんです。」

演奏の技術だけではなかった。
自分の姿形を、隠すのと見せるのとのバランスだとか、
今やってみせたように、客には笑顔を作ってみせてやることだとか、
場合によっては逆に、
髪の色も目の色も、自分の造作をも使って、目立って“仕事”をする術も。

「でもさ、そんな目立つ仕事をしちゃったりしたら、
 そのあと、大変だったりはしなかったの? だってほら、きみ、すごく綺麗だし……」

アスミには最低限さ、護身術とかはぼく、おしえたんだけど。
そう続ける養父にヒナタは、
何も答えず、
けれど先ほどしてみせたのと同じように
綺麗に笑顔を作って、養父に笑って見せた。

(あぁ、そうか……)

その笑顔を見て、思い出す。
ヒナタは、「警衛士を一番避けなければいけないような環境」にいたと、言っていた。
であればおそらく、身を守る術くらいは、叩き込まれているのだろう。
おそらくは、
自分がアスミに教えたようなものではなく、もっともっと、実践的なものを。

「きみの演奏、聴いてみたいな」

この話題には、あまり深入りするのはやめておこう。
そう判断して、養父は言う。
ヒナタは今度は、一度作った表情を崩してから答える。

「いや、おれ、……演奏自体はまぁ、うまいらしいんですけど。
 でも、すごいブーイングくらうことも、多いんですよ。
 頭から酒かけられたこととか、テーブルの果物投げられたこともあるし。」

それは少し、物騒な話だ。
例え彼にそうした人物が、いくら酒に酔っていたのだとしても、
さすがにやりすぎだと、思えた。

「それがなんでなのかは、おれ自身にも最初は、わかんなかったんですけど。」

「今はわかるの?」

訊けば、ヒナタは頷いた。

「音楽なので。たぶん、出ちゃってたんです。おれの方の状態とか、感情とか。」

あの時期は、
まだもっと、ぐちゃぐちゃだったから。

「……」

まるでそれを“普通”のことのように話すヒナタに、
養父は何も言えず、苦笑する。
(そんなこと“普通”に話しちゃう分、余計、重い……よなぁ。)
そんな風に想う。

彼は、“まだもっと”とも、言った。
それはつまり、今もその状態は続いている、ということだ。

当然だ、とも、思う。
アスミだって、今でもまだ、うなされる。
指先まで冷たくして、
……今はもう何も映すことのない瞳から、涙を流して目覚めることもある。

当然だ。

そんなことを考えて無言だった養父の視界に、病院が入って来た。

「あ、あれね、
 ぼくの妻と、アスミも昔、少しだけ仕事してたことがある病院だよ。」

「へぇ、すごいな。」

真っ白な壁に囲まれた、背の高い、
大層立派な建物だ。
遠目からでも、それがわかる。

ヒナタは少し笑いながら、
アスミに無理矢理、検査を受けさせられた話をした。
「え、あの子がそんな、強引に?」と、
その話には、養父は本当に驚いた顔をした。
ヒナタは笑いながら、うなずく。

「正直なところ、今でも、あれはダメだろうって思ってますよ。」

うん、だよね。
養父は、自分がしたことでもないというのに
困った顔をして、俯いている。

「いえ、いいんですけどね。
 あいつ……アスミが去って、少し経ってから聞いた話では、なんか、仕方ないことだったみたいだし」

そう伝えても、まだ少し難しい顔をしている養父に
ヒナタは尋ねる。

「アスミは、今は、……今の仕事は、楽しそうですか?」

ヒナタの問いに、養父は嬉しそうな表情を取り戻す。

「うん、それがさ。今の仕事、すごい向いてるみたいでさ。」

ここに辿り着くまでに伝え聞いた話では、
アスミが完全に視力を失ったのは、
彼女がこの街に帰って来て、それからわずか、数週間のことだったという。

視力を失った彼女は、医師の仕事を続けることは当然、不可能で。
(……でも、そのあとがあいつのすごいところだよな)
彼女は今、
医者を育てる教師になって、仕事をしているのだそうだ。

「きみ、ぼくの妻のこと、どんな風に思った?」
ふいにそう尋ねられて、彼らの家で少しだけ交わした会話を、ヒナタは思い出す。

「あの、……すごく侠気にあふれていて、頑固そうで、優しそうでした」

養父は「正解!」と、楽しそうに答えた。

「アスミはね、妻に、すごくよく似てるんだよ。
 教師になってからはさ、最初はものすごく優しい先生って言われてたらしいんだけど、
 今では、けっこう厳しい先生って思われてるみたいで。」

自分のどこが厳しいのかわからないって、不思議がってたよ。
笑顔で養父は、そんなことを言う。

「なるほど。」

ヒナタも笑って答えながら、思う。
あの養母にもだけれど、この養父にも、彼女はよく、似ている。
ヒナタがそれを言葉にすると、
養父は嬉しそうに、微笑んだ。
ヒナタは、アスミの笑顔など、今日まで見たことはなかったけれど……
それでもきっと、彼女もこんな顔をしていつも笑うのだろうと、想像はついた。

やわらかい笑顔だ。
この気持ちのいい街に、本当に、よく似合う。



***************



少しずつ、風が冷たくなって来た。
季節はもうすぐ夏の初めだけれど、夕方になれば、まだ少し、肌寒い。

そうしてしばらく歩いていた2人だったけれど、
養父がまた、ヒナタを誘った。

「あのさ。……ちょっと1杯、どう?」

目の前には、小さいバーがある。
いいですね。
笑顔で答えて、2人は店に入っていく。


濃い色合いの木を基調にして作られた店内では、
まだ夕方になったばかりだというのに、すでに、数人の客が楽しんでいる。
養父はカウンターではなく、端のほうのテーブルを選んで席に着いた。

養父は、辛めの酒にライムを添えたものを、
ヒナタは、りんごの酒を炭酸で割ったものを、オーダーする。

「わからないですけど。たぶん大丈夫ですけど、おれ、まだ未成年かもしれませんよ。」
自分の誕生日、よくわからないんで。

もし自分が未成年だったら、警衛士をしているこの男としては、ちょっとまずいんじゃないか。
そう考えて、少しからかうような調子で笑って、ヒナタは言う。
けれど養父は、笑わずに答える。

「それでも、いいよ。じゃあ、今だけ二十歳って、決めちゃいなよ。
 ……せめてさ、こういう時に便利に使えなきゃ。
 だってそうじゃなきゃ、誕生日がない、なんて、割にあわないでしょ。
 って言うか、使えたって、それでもまだ割にあわないんだから。」

どんどんつかっちゃえばいいんだよ。
少し怒ったようにして目の前の男が言うのに、
今度はわざとではなく、本当に笑って、ヒナタは言う。
「それ、警衛士の言うことかよ!」

けれど目の前の男はやはり、笑わない。

「いいの。ぼく、どうせ下っ端だから。
 たとえクビになっても、試験受ければすぐ戻れるくらいの地位しかないから。
 仕事は大好きだけど、その仕事の意味っていうか……。
 要はね、もっと大事なことがあるってことなんだ。」

養父が笑わないから、ヒナタも、笑顔を引っ込めた。
オーダーしたものは、すぐに届いた。

静かにグラスを合わせて、一口、それを口にすると、
養父はヒナタに、頭を下げた。

「きみには感謝している。ぼくも、妻も、本当に。」

「!」

あらためて頭を下げられて、驚いて。
それからヒナタは、思い出す。
かつてあの街で、最後に、彼女に言われた言葉を。

「あの子が今、生きて、そしてぼくたちのところにいるのは、
 たぶん、本当に本当に、きみのおかげなんだ。
 だから、本当に……どうも、ありがとう。」

ずっときみに、それが言いたかったんだ。
ぼくも妻も、ずっと、ずっと。
アスミの養父は、そうも続けた。

……だからヒナタは、話した。
この人ならば大丈夫だろうと、そう、思えたから。

「おれ、あの場所で……あの場所でおれたちに値段をつけた、
 その組織にいたって言う人間を、知ってるんです。
 ミーナが教えてくれて、居場所も教えてくれて、それでおれ、そいつのこと、見に行ったんです。」

養父は静かに、顔を上げた。

「ミーナの話では、アスミはそいつに、会いに行ったようでした。」

ヒナタの言葉に、養父は頷いた。
その話はどうやら、アスミから聞いているようだった。

「おれには、無理だった。そいつの家の前まで行って、そいつの姿を見て。
 なんか、背中丸めてちっちゃくて、おれよりももっと、みじめな感じで。
 ……なんか、わからなくなっちゃって。
 それでけっきょく、おれはそいつに、会いませんでした。……会えませんでした。」

養父は言葉を挟まずに、ただ、聞いている。
だからヒナタは、続ける。

「……でもけっきょく、それじゃダメだって、思って。
 どうしても、一回、ちゃんと“見なきゃいけない”って、そんな風にしか思えなくて。
 それで結局、おれ、行ったんです。」

アスミの養父は、僅かに、首を傾げた。

「……おれたちが昔いた、あの、場所です。」

「!」

養父にも、それがどこを指すのか、わかったのだろう。

「あぁ、でも、あの場所は今、……」

言いよどむ養父に、ヒナタは頷いた。

「はい。……なくなって、いました。」

「……」

「綺麗な、建物でした。建物の周りには、芝生が広がっていて。」

養父は頷いた。
彼らがいたその場所には、彼も数度、訪れたことがある。

その建物が取り壊されたのは、組織がつぶされた、その4年後のことだった。
建物が壊されたそのあとには、
青々とした芝生が植えられて、そうして今は、別の建物が建っている。
警衛士を養成するための、専門の学校だ。

「あれにはさすがに、まいりました。
 今でも、まだ、頭の中の整理はできていません。」

そこまで言ってヒナタも、一口、酒を含んだ。
それから、胸のポケットから煙草を取り出して、
目線だけで養父の許可を得ると、慣れた仕草で、火をつけた。

「……きみ、タバコ、吸うんだね。」

酒場で仕事をすることが多かったので、覚えちゃいました。
ゆっくりと煙を吐き出しながら、ヒナタは言う。

「あの場所に行ったあとも、いろいろな場所に、行きました。
 いろいろな人に会って、いろいろなコトを考えました。
 ……本当に、いろんな人がいた。
 みんないろいろで、それぞれがいろいろで、なんかすごいなって、思いました。」

煙は静かに、のぼっていく。

「みんな色々、それぞれ、抱えてたりして。
 でも、“普通”に生活してるんですよね。みんな、なにかしら、持っているのに。
 ……“普通”に生活するって、すげぇことなんだなって、思いました。」

若い女性の店員が気づいて、
小さな、ガラス製の灰皿を持って来た。
ありがとう。
そう言って、店員に向かってヒナタは微笑む。
店員は、少しどころではなく顔を赤らめて、お辞儀をして去って行った。

(あぁ、この子、すごいモテるんだろうな)
ヒナタを見てアスミの養父は、そんなことを考える。

丁寧に話してはいるけれど、時々、少しだけ荒い言葉使いがまじる。
そのバランスが、雰囲気がまた、
おそらく人を、惹き付ける。

灰皿に一度、灰を落としてから、
ヒナタは続けた。

「すごいなって思って、でもそれから、いろいろ、思い出したこともありました。
 例えば、……おれを買った爺は、おれが“犬”になってからは、それなりには優しかったな、とか。」

おれを買った爺。
犬。
その単語は少し、衝撃が強くて、
アスミの養父はまた、酒を口にする。

「爺がおれとしたのは、絶対に、おれから言った時だけだった。
 月に1度。おれは、まぁ、……金が欲しかったんです。交換条件のつもりだった。」

ヒナタの言葉が次第に、飾らないものになっていく。

「おれがそうするようになってから、それからは、それまであったいろんな……
 いろんなおれの姿を人に見せるとか、動けないようにしてただ見てるとか、
 ちょっとずつ傷口を開いてくみたいなこととか、……そういうのは、なくなった。」

ヒナタはまた、酒を含む。
果実の酒を炭酸で割っている。けれどそれでも、度数は決して、低くはないものだ。

「おれがケガしたり、病気になったりすれば医者を呼んだし、
 ……それにあいつは、自分の飼っていた黒服たちを、大事には、していたんだ。
 家族を持つヤツがいれば、その世話してやったり。ソイツらがケガさせられれば、必ず報復した。
 自分の支配する街の人間のことは、守ってはいたし、
 自分の街にふさわしくない、街の人間を傷つけるようなヤツは、確実に、追いやったりもしていた。」

くわえた煙草の先が橙に光って、
それから煙がまた、ゆらゆらと、のぼっていく。

「あそこの花街は、平和だった。
 あの街を出て、外の花街を見て驚いた。……ひどいところが多い。」

きみ、そういうとこ行く人なんだ?
養父がそう尋ねれば、ヒナタは少しだけ微笑んだ。

あぁ、やっぱり、モテるんだろうな。
アスミの養父はまた、そんな風に思う。

「おれがいたところの花街の人は、まぁ、あんまり話したりしたことはなかったけれど、
 みんな、とても気のいい人たちでした。だから、花街の女はみんなああなんだろうと、思っていたんです。」
だからおれ、花街の女性、好きなんですよ。自分が行くかどうかは別として。
ヒナタはそんな風に言う。

「おれは未だに、わかりません。あの爺が、どんな人間だったのか。
 今から思えばあの爺は、もしかしたら、もっと……おれと話しを、したがっていたのかもしれません。」

おれは全然そんなことは思わなかったので、できる限り、顔を合わせないようにしていましたが。
そう言って、
また酒を含んでから、ヒナタは続けた。

「あの爺は一度、おれを息子にすると、言いました。
 でもそう決めたくせに、あいつとの、……アスミとの約束を守って、結局、おれを手放した。
 約束なんて守らないで、ずっとおれを飼っておくことだって、できたのに。」

そして煙草をもう一度だけ燻らせて、
それを灰皿に押し付けてから、ヒナタは呟くように、言った。

「あんなやつ死ねばいい。顔だって見たくない。
 本気でそう思ってるけど、でも、あの爺が死ぬ前に
 一度くらい、『死ねよ』って、本人に向かって言ってやりたい。そんな風にも、思います。」

アスミの養父は、ヒナタの言葉を聞きながら、自身も酒を口に含む。
静かに、ゆっくりと。

……けれど続くヒナタの言葉に、思わず咳き込みそうになってしまう。

「もう少ししたら、一度、帰ろうかな。」

「……“帰る“?」

9年もの長い間、
自分を傷つけ、蹂躙していた人間のいるもとへ、“帰る”?
彼は今、そう言ったのか?

養父のその様子に「あぁ、違うんです」と、少し慌てて付け足してから、ヒナタは答えた。

「爺のところにも顔を出すかどうかは、それはまだ、決めていません。
 ただ、あの街に戻って、自分がどう感じるのか、試してみようかと。
 あの街に、おれの生きる場所はありません。
 でも、……待ってくれてるやつらも、いるんです。
 街を出るまで、……いや、実は今まで、気づかなかったんだけど。
 だからそいつらのところには、たまには顔見せに行ってもいいかなって、そう、思って。」

ヒナタは、
少し照れくさそうにそう言って、残りの酒を飲み干した。
アスミの養父も、ヒナタに合わせて、グラスを空ける。

旅の途中でアスミが、
その時一緒に旅をしていた“ユエ”という少女に代筆を頼んで、
一度、手紙をくれたことを思い出した。

そう言えば、彼女とあの狼は元気だろうか。
もうほとんど視力を失っていたアスミを、無事に家まで送り届けてくれて、
それからしばらくの間、一緒に時を過ごした、あの少女たち。

今は、どこにいるのだろう。
懐かしく、アスミの養父は思い出す。

「うん、それはいいね。だったら一度、帰るといいよ。」

きっとその人物たちも、
懐かしく、この目の前の彼のことを想っているはずだ。

彼にも、そういう人たちがいてよかった。

「ここはぼくにご馳走させてね。」

そう言って楽しそうにする養父にヒナタは頭を下げて、
それから2人は、もう暗くなって来た街の中を
家に向かって、歩いた。


街灯が道を照らす。

相変わらず静かなこの街は、
夜になると鳥ではなく、小さく、虫の声が聞こえてくる。
風が街路樹を揺らす。

本当に、気持ちのいい街だ。

少しだけ酔った頭で、
ヒナタは、そんなことを考える。

鼻歌でも歌いたい気分だった。



***************



ヒナタもアスミの家で一緒に、夕食をとることになった。
揃って、少しだけ顔を赤くして帰宅した2人に、
アスミの養母は少しだけ、呆れた表情を作る。

けれど2人がどうにも楽しそうなので、
けっきょく養母も、楽しそうな顔になる。

「あなた、今日の夕食は自分が作るって張り切ってたけど。
 遅いから、私、つくっちゃったわよ?」

料理の下ごしらえだけは済ませていたらしい養父は、
「あぁ、そうだったしまった!」と
そう言って養母に、笑顔で、謝っている。

その声を聞きつけたアスミが、部屋から出て来たようだった。
階段を降りて、廊下を歩くその様子には、
ためらいのようなものは、一切ない。
それは、「見えていない」ということが彼女にとって、
それほど苦になってはいないのだと、そう思わせるような動き方だった。

「おかえりなさい」

笑顔で言うアスミに、ただいま、と、笑顔で養父は答えた。
キッチンからは、アスミの養父母がそろって、料理を運んでくる。

ワインに浸け込んでから焼いた肉と、
芋をふかして、おそらく、塩と胡椒で少しだけ味付けをしたもの、
それから付け合せの野菜と、
ガーリックバターをつけてこんがりと焼いた厚切りのパン。
「今日はデザートにシャーベットもあるよー!」
養父は嬉しそうに言う。

「おいしそう。」
アスミがそう言って、また、笑顔を作った。

「うん、すごく、おいしそうだ。」
ヒナタも笑顔になって、そう、答えた。



***************



4人そろっての食事を終えて、
養父が言っていたシャーベットに手をつける。

スプーンで、少し固いそれを崩しながら、
養母が言った。

「それで、あなたはこれから、どうするの?」

ヒナタもスプーンを動かしながら、答える。

「……まだ、わかりません。」

「……」

そう答えたヒナタに、
アスミの養父が、ちらりと、視線を送って来た。

その養父を見て、
少し心配そうな顔で自分を見つめる養母を見て、
それから、視線は合わないけれど、
スプーンを動かすのもやめて自分の方に向き直るアスミを見て、ヒナタは
あぁ、こういうのはいいなぁと、思う。

こうやって、
ただ、一緒にご飯を食べて、シャーベットをつついて、顔を合わせて、話す。
ほんのささいなことでも、笑顔が生まれる。
それだけだけれど、こういうのは、いい。
そう思う。

……そう思ったから、
だから、口に出してもいいかと、そんな気持ちにもなる。

「やりたい仕事は、あるんです。」

音楽関係の仕事か何か?
そう尋ねてくる養父に、ヒナタは首を振る。
「音楽?」
アスミはそう尋ねるけれど、「それはちょっと、後で聞きましょう」と、養母が言う。

「おれは、……警衛士に、なりたい。」

「!」

3人ともが、驚いた顔をした。
けれどもちろん、一番驚いていたのは、養父だった。

「警衛士? え、だってきみ今日、……え、そうなの?」

ヒナタは無言で、頷いた。
崩したシャーベットを一口、齧ってから、続ける。

「いろんな場所に行って、いろんな人に会って。
 おれ、実は、会ったんです。おれたち以外の、アルファベットの、ヤツらにも。」

アスミは、少しだけ表情を固くして、聞いている。
ヒナタはそれ以上、そのアルファベットの記号を持つ者たちがどんな様子だったのか、
それを話すことはなかった。

「それにおれは、知りました。
 まだ、たくさんあるんだ。おれみたいな、おれたちみたいな、人間を売ってる組織が。
 おれはそれを、どうにかしたい。それは、……自分のため、だけど。
 そんな組織、まだ本当にいっぱいあるだろうし、
 それ全部どうにかするなんて、難しいし、できないかもしれないけど、
 でも少なくとも今は、そのことで、頭がいっぱいだから。
 ……だから今は、今度はそれをしないと、いられないような気が、しているんです。」

また、もう一口シャーベットを齧ってから、ヒナタは続ける。

「最初に旅に出たときと、一緒です。
 きっとあんまり、成長とか、変化とか、できてないんだ、おれ。
 今、それで頭がいっぱいだから、だからそれをしないとけっきょく、
 自分はもう、何も出来ない気がする。進めない気がするんです。」

養母が口を開いた。

「それを選んであなたは、逆に“とらわれる”ことにはならない?
 あなたを縛ることにはならない?
 そうすることはあなたにとって、ひどくツライことでは、ないのかしら。」

ヒナタは少しだけ、俯いた。

「わかりません。そう、なのかもしれません。
 ……それでも今は、そのことしか考えられない。
 だったら、それをしないと。じゃないと、ダメなんです。」

それだけはわかるんですと、ヒナタは言った。
アスミは黙って、聞いている。


たとえそれがどんなカタチでも、
どんな気持ちから生まれたものであろうとも、
やりたい、という感情が生まれたことは、とても喜ばしいことではあった。

“あの場所”から救出されて、しかるべき保護者のもとで育てられて、
けれどそれでも、
後に、自ら命を断っていった子どもたちが多くいることを、養父はよく、知っていた。

__知っていて、それでも、言わなければいけなかった。


「……でもね、難しいよ。」

小さく俯いていたヒナタが、顔を上げた。

とても、言いづらいことだ。
けれど彼は、ヒナタをちゃんと見つめて、続ける。

「正直、とても難しい。
 ……きみは学校へは、行った?」

ヒナタは首を振って、家庭教師が来ていたと、答えた。
養父の言いたいことがわかったらしく、
養母とアスミも、顔を曇らせた。

「……きみは今おそらく、この国の戸籍には、入っていないだろう。
 そういう子は、けっこういっぱいいるけどね。
 それでも、学校だったりなんだったりに行くことでその子たちは大抵、
 自分の存在を“公的に証明する”ことができるように、なっているんだ。」

ヒナタにも養父の言っていることがわかってきて、
もう一度、僅かに、俯いた。

「……認定された病院で、定期的にお医者さんに見られたりしたことはある?」

ヒナタはそれにも、首を振る。

「きみはおそらくもう、18歳は過ぎてるだろう。
 だから残念ながら、誰か、……うちの養子にも、することはできない。
 つまりね、きみの存在を、公的に証明することは、とてもとても、難しいんだ。
 そして、……バカみたいだと思うけど、この仕事って割とちゃんとした身元証明ができないといけなくて。
 それで、専門の学校に通って試験に受かって、って、しなきゃいけないんだけど。
 ……きみの場合。
 勉強とか試験とかはともかく、そこ以外の全部が、厳しいんだ。」

本当にそんなの、ばかみたい。
養母がそう呟いて、皿に残るシャーベットを、一口に飲み込んだ。
アスミはヒナタよりも深く俯いて、動かない。

「……ゴメンね。これは、きみのせいじゃないのに。
 きみはひとつも、なにも、悪くないのに。……ごめんね。本当にごめん。」

しばらくシャーベットの皿を見つめていたヒナタは、いえ、と声を出すと、顔を上げた。

「謝らないで下さい。あなたが悪い訳でも、ないんだ。」

そう言って、
溶けかけたシャーベットを、口に運んだ。



***************



結局その夜は、
素泊まりで予約していた宿をキャンセルして、ヒナタはアスミの家に泊まることになった。

シャワーを浴びた後のヒナタは、
もう随分と、スッキリとした顔をしていた。

眠る前の準備をする3人に向かって、ヒナタは言った。

「明日、この街を出ます。」

そして、
「今日は本当にありがとうございました」と、深く、頭を下げた。

養母は、少し怒ったような顔をして、何か考え込んでいる。
何もできなくて申し訳ないと、養父は再び、言った。

「何もなんて、言わないで下さい。おれ、ここに来て、思い出せたんです。」

こんな場所がいい。食事中に何度もヒナタは、そう考えた。
そして思い出したのだ。
自分にも、そのチャンスはあったのだ、ということを。

ヒナタの頭の中に浮かんだのは、
かつて自分が暮らしていた要塞のような街に住む、兄妹のことだった。

彼らは、待ってくれているだろう。自分のことを。
そのことには今日、養父と訪れた酒場で、気づいた。

けれど、それだけではなかった。

あの兄妹は、
毎日、何年も、自分を気にかけてくれていたのだと、気づいた。
あんなに何度も、最後の半年は毎日のように、一緒に食卓を囲んだ。

ただ、笑えなかっただけだ。
そして、笑わなかったのは、自分だった。

自分が笑わなかっただけだ。
それだけだった。

自分にもあったのだと、
自分ももう、持っていたのだと、ヒナタは気づいた。

そしてそのことに対して、「もったいないことしたな」と、思えた。
「自分だって、あんなに欲しがってたくせに」と、
そう、思えたのだ。

「だからおれ、今日、ここに来て、
 ……本当によかったと、思っています。」

そう言って、
最初に訪れた時に返された、あの信じられないほどの大金の詰まったプレートを
もう一度、差し出した。

今度は突き返されないように、
手渡しではなく、テーブルの上に置く。

アスミの養母は、相変わらず、厳しい表情をしている。

「本当に、いろいろ……ありがとうございました。」

そう言ってヒナタは、頭を下げた。
そのヒナタに向かって養父は、ふいに、言った。

「あのさ、じゃあきみに、ひとつ、お願いがあるんだけど。」

「?」

顔を上げたヒナタに、少しだけ悪戯っぽい笑顔を作って、養父は言う。

「君が覚えて来たって歌、歌ってよ。」

「!」

えーそれは聞きたい! と、アスミは盛り上がってみせて、
養母は、眉間に寄せていたしわを少しなだらかにして、
それはわたしも聞きたいわね、と、かすかに笑顔を作って見せた。

「……歌じゃなくて、楽器で勘弁してください。」

お礼に1曲、プレゼントさせてもらいます。
少しだけ不機嫌な顔になって、
ヒナタは部屋の隅に置いていた鞄から、小さな笛を取り出す。
養父があとの2人に、
ヒナタは楽器を演奏する仕事をしていたのだと、説明しているのが聞こえる。
それはすごい、と、アスミも養母も、楽しそうだ。

「アスミ。」

楽器の用意を終えたヒナタが、呼んだ。
アスミは笑顔で、顔を向ける。

視線は、合わない。
けれどその黒い瞳を覗き込むようにして見つめて、ヒナタは言う。

「ミーナが作った、アスミたちの曲だ」

ヒナタのその言葉に、
アスミは笑顔を大きくする。


一度だけ、深呼吸をして。

それからヒナタは、音を紡いだ。


「______」


それが楽しい歌なのか、悲しい歌なのか、ヒナタにはわからなかった。
今までに、何度も、何度も考えたけれど、
わからなかった。

わからないからヒナタはただ、
音を、その音のままに解放することだけを考える。
それだけを考えて、音を出す。


「…………」


酒をかけられたこともあった。
テーブルの上の果物を、投げつけられたことも。

けれど演奏が終わってみれば、
アスミの顔に浮かんでいたのは、笑顔だった。

喜んでくれているようだ。
それが嬉しくて、ヒナタも少し笑顔になって、言った。

「ミーナが、あんたたちを歌った。あんたたちの歌だ。」

けれど、アスミは笑顔で、首を振る。

「ぼくたちのこと歌ったんなら、だったらこれは、ヒナタの歌だ。
 ……だってぼくは、ぼくたちは、きみのためだけにずっと、旅をしていたんだ。」

「!」

「きみの歌だよ」

ヒナタは、何と言っていいのかわからないといった顔をしてしばらく、黙っていたけれど、
「……それじゃ、プレゼントにならないじゃないか」と
小さく、言った。

もちろんそれを聞きつけたアスミは、それでも嬉しい、と言った。
そして、少し考えてから、
「そのほうが嬉しい」と、言い直した。


「いいこと言うわね。」

そう言ってアスミを養母が褒めて、
アスミは少し、照れたように笑う。

やっぱり、アスミの養母は男前だと、
そんなことを思って、ヒナタも笑った。



***************



翌日の朝早く、
アスミや、その養父母が仕事に出かけるよりも早い時間に、
ヒナタは家を出た。

彼を見送る家族はそろって、
またぜひ来て欲しいと、そう伝えた。

「ありがとう」

ヒナタは短く、そう答える。
そんなヒナタに向かって、
朝から難しい顔をしていたアスミの養母が、言った。

「また来なさい。絶対に。……追って、連絡するから。」

(追って、連絡?)
よくわからないながらも、
ヒナタは、わかりました、とただ、その約束を受け付けた。

少しだけ満足そうに、養母が笑った。


(……ともかく今は、もう一度)

あいつらに会いに行こう。

アスミとその家族たちと別れて、早朝の道を歩くヒナタの頭にあったのは、
とにかくは、あの兄妹の姿だった。


今のままでは、どうしても警衛士になることができないこと。
それでは、もうどうしようもないような気さえ、していること。

考えることは、いろいろあった。
けれど、今はともかく、帰ること。
それが一番大事だと、ヒナタは思っていた。

自分も、ちゃんともらっていたことが、わかったから。


あの要塞を出てから、一度も帰ったことなどなかった。
兄妹のことを思い出しても、
それで懐かしいような気持ちになっても、
手紙のひとつすら、書こうとも思わなかった。

3年間、一度もだ。

だから今はともかく、急いで、帰ろう。
そう考えてヒナタは、歩く調子をはやめた。



***************



再びその街に辿り着くまで、4ヶ月がかかった。

けっきょくヒナタが街を出てからは、
3年と半年の月日が流れていた。

そうして3年以上ぶりに帰り着いたヒナタを、
兄妹はちゃんと、待っていてくれた。

兄は心底、驚いた顔をして。
少しだけ顔つきの大人っぽくなった妹は、
けれど少しも変わらない、笑顔で。


「おかえりなさい」

兄妹が言った。

「……ただいま」

ヒナタが、笑顔で、そう返せば、
兄はますます驚いた顔をして、
妹の方でさえも、
浮かべていたはずの満面の笑顔を引っ込めて、驚いた顔をした。


……けれどけっきょく2人とも、
その後は、笑顔だった。

そして、もう一度、ヒナタに言った。

「おかえりなさい。」

だからヒナタもまた、
もっともっと、笑えるのだ。



***************



かつて借りていた部屋は、まだ空いているようだった。
ヒナタはそこに再び、しばらくは、暮らすつもりだった。

部屋が開いているのも当然だった。
この街には、人の出入りなどほとんど、ないのだから。
ヒナタは、そんなことを思い出す。

懐かしい、という感情はあった。

空気も、色も、見知ったものだ。
見知った景色だ。
よくも悪くも、ヒナタの肌には、よく馴染んだ。


この街には、自分を待っている人がいる。
あの木のように、庭のように、
また、必ず訪れたいと思える場所もある。

この街自体が、この街の全てが嫌いなわけでは、ないのだ。
それはヒナタ自身にも、わかっていた。

「……」

一人、少ない旅の荷物をほどくヒナタのもとに、
先ほど別れたばかりのアランがまた、やってきた。


……ヒナタを待っていたのは、
兄妹だけではなかった。


「お前が帰ってくるの、もう少し遅かったら、困ってたとこだ。」


そう言った兄に手渡されたのは、
2通の手紙。


お前、もうずっとここに住むのか?
手紙を読むヒナタと荷解きを変わってやりながら、そう尋ねてくるアランに
けれどヒナタは、首を振った。

ここは、この兄妹のいる場所は、
確かに、帰って来る場所だ。そう思っている。
けれどここは、自分の生きられる場所ではない。
そう思う気持ちもまた、ヒナタの中では同じくらい、確かなものだった。

生きて、そうして「生活」をしていくには、
この街では、いろいろなことがありすぎた。
おそらく自分にはもう、それは耐えられないだろうと、
ヒナタは、そう感じていた。

……じゃあ、いつまでいられるんだ?
今度はそう尋ねて来るアランに即答はできず、
考え込みながらヒナタは、封筒の送り主を確認した。


1通目は、
アスミの養父母からの手紙だった。

簡単な挨拶とアスミの様子を伝える文章の後に、
いろいろ考えたんだけど、と、続いていた。
どうやらこれは、養父の文字だ。

《いろいろ考えたんだけど。
 なんとかするよ。絶対に、なんとかする。
 だから、きみ、やること終えたら、絶対にもう一度うちに来て。絶対に。約束だ。
 もちろん、きみの気が変わったのなら、いいんだよ。そのときは、別のものを選べばいい。
 別のものが見つからないなら、見つかるまで何も選ばなくても、それでもいいんだ。
 ただ、やっぱり、また来てくれたら嬉しいよ。ぼくも妻も、アスミもみんな、待ってるよ。》

その後に続くのは、養母の文字。

《大丈夫。やり方なんていくらでもあるの。だから、それだけは任せなさい。
 ……そこから先は、アナタ次第だけれど。
 それにもし、気が変わったというなら、それもそれで、かまわないのだけれど。》

そこまで読んで、ヒナタは、理解した。

あの家族は、自分が「警衛士になりたい」と
そう言ったことを覚えていて、
それでそのために、動いてくれているのだ。


諦めかけて、
けれど諦められなくて、
どうしようもない気持ちになっていたヒナタには、
それは、嬉しい便りだった。


養母の文字で、手紙は続いていた。

《半年。半年もらえれば、なんとかする。
 だからもう少しだけ、待っていて。時間をちょうだい。絶対に、諦めないこと。》

そこで、手紙は終わっていた。


「……」

ヒナタは考える。

半年。
あと、2ヶ月だ。


渡された2通目の手紙を見て、おや、と思う。
こちらも、アスミの家族からの手紙だ。

「……」

まさか、と思った。
少し震える指で、ヒナタは2通目の封を開けた。


中に入っていたのは、3枚の紙。
普通の便せんと、それよりも少し大きな薄い紙と、
それから封筒の奥に1枚、小さなカードが入っている。


まずは、大きな紙を開いた。
そこには、おそらくアスミの養父母の名前と、アスミの名前とが、書かれていた。
アスミの名前の脇には、代筆、として、アスミの養母の名が再度、書かれている。


次に、便せんを開いた。
これは手紙だ。養父の文字が並んでいる。

《1、今からでも、専門の学校に入ること。
  15歳から入る子が多いから、ちょっとだけ遅くなっちゃったけどね。
  もちろん入学には試験はあるから、勉強もすること。
 2、国の認めた保証人を、3人以上たてること。
  これは、ぼくたちで。
  うつしを同封しました、確認してくれたかな。
 3、上記に定めのあるような、身元の確実な引受人をたて、定期的に報告を行うこと。
  ちょっと感じ悪い条件だけどね。
  これもぼくたちでいいんじゃないかと思うのだけど、どうだろう。
 ……以上の3つで、条件クリアです。
 さて、今、きみの気持ちは、どんな風になっているのかな。》

条件クリア。
たしかにそう、書いてあった。

そこまでの文章を何度か読み返して、それからヒナタは、続きに目をやる。
アランは「どうかしたか?」と、少し心配そうにして、ヒナタを見ている。

《現役のぼくの嘆願と、偉いお医者さんの妻の力強い口添えと、
 それから、怖い先生のアスミの、3人の力です。……ぼくたち、けっこうやるでしょ?》

そこまで読んで、
ヒナタは思わず、笑顔をこぼした。

間違いない、すごい家族だ。そう思う。

「……?」
そんなヒナタの様子を見て、少し離れたところにいたアランが近づいてくる。

《ともかく、条件はクリアしたので。だからもし、きみさえよけれはとりあえず、うちにおいで。
 もし、今でも君が本当に、それを望むなら。うちは、いつ来てもらっても大丈夫だから。
 そうじゃないなら、それでいいんだ。君の人生だ。きみが決めなさい。
 ただ、もし、来てくれるなら。
 今きみが読んでいるこの手紙を受け取ってくれた
 きみを待っていた、きみが帰って行った場所の人たちには、怒られちゃうかもしれないけどね。
 きみに今度は、ぼくたちもお帰りって、言えたらいいなと、思っています。 ……それでは、また。》

気づけばとなりにまで近づいて来たアランに、読み終えた手紙を渡す。
読んでいいのか?
尋ねるアランに、ヒナタは無言で頷いてみせる。


最後に取り出したのは、1枚のカードだ。
歪んだ文字だ。
数年前、『日向《ヒナタ》』と名を残していったときの筆跡は、跡形もなかった。

けれどわかる。
それが、誰からのものなのか。


《おめでとう》


……カードに書かれていたのは、その、ひとことだけだった。


学校が始まるのは、春だ。
今が秋の入り口で、
アスミの家に行くまでには、まっすぐに向かっても、4ヶ月の時間がかかるのだ。

もうあまり、時間がない。

「アラン、決めたよ。……10日だ。」

え、なに?
アランはそう言って、聞き返してくる。

「あんた聞いただろ。おれに、いつまでいるのかって。だから、あと、10日だ。」

10日後にはまた、出発する。
聞いたアランは、また随分急だなと、少し、不満そうな声を出す。

アランがどうして不満がっているのか、今のヒナタには、わかる。
わかるから「ごめんな」と、言うことができる。

ヒナタのその言葉を聞いて、アランは複雑な表情になる。

そう言えたヒナタに対して、
喜んでいいのか、文句を言いたいのか、
わからない、と言った顔だ。

「それにしても急すぎるだろ。どうしたんだ、一体。」

そうか、手紙だけ読んでも、
当然何のことだか、アランにはわからないだろう。

わからないだろう。
自分が今、どうしてこんなに、
……こんなに、嬉しくて仕方がない、そんな気持ちでいるのか。


「エレンは、エレンはあの場所だよな」

久しぶりに行くその場所を思って、
ヒナタの心はますます、明るくなる。

ヒナタの、まるで自問自答のようだった問いにうなずくアランの袖口をひっぱって、
そのまま、部屋を飛び出した。
鍵もかけていない。
けれどどうせ盗られるようなものもないから、かまわない。


エレンのいるその場所に向かいながら、
「10日後だ。だから今日は、……3人で一緒に夕食でも、食わないか?」
笑顔でヒナタは、そう、言葉にする。

アランはやっぱり驚いて、
……そしてやっぱり、笑顔になった。


はやくエレンにも、知らせてやろう。
エレンもきっと、ものすごく、喜んでくれるだろう。
あの子はいつだって、おれがよろこぶところを見たいと、
そんな風に、思ってくれていたんだ。

思いながら、ヒナタはその場所へと向かっていく。

そして、あの木にもちゃんと「ただいま」を言わなければと、
そんなことも、考える。


今の時間ならきっと、
そうだちょうどあの場所にも、日が射して。

きっと、綺麗だろう。
秋のあの場所も、きっと。


はじめられる。
やっと、はじめられる。


旅に出て、帰って来て、
そうしてはじめてその言葉が、ヒナタの中にあふれていた。


エレンに話して、
そうしてきっと、あの場所から。
やっと、はじめられるんだ。

そう思って、
日の当たるその場所へと向かう足を
また少し、はやめて、

そうしてヒナタは
たしかに、その一歩を、
踏み出した。




(『アルファベットの旅人』終)

これで、完結です。
ここまで読んで下さったみなさま、
本当に本当に、どうもありがとうございました!



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comment

  1. 2010/05/25(火) 01:02:32 |
  2. URL |
  3. リュ~ク
  4. [ 編集 ]
こんばんわ。
リュ~クです。


えーっと、まずはおめでとうございます
こんな素晴らしい作品を書き上げられたこと、また一つの作品を書き上げられたこと、とてもすごいです

小説を一つ完成させるというのは、相当難しいことだと思います
若輩者ながら、小説に携わる者として、非常にその難しさが解ります

それだけに
作品の質や内容を抜いて、完成させる技術というか、なんでしょうか、その努力とか情熱とかが、春さんのすごいところなんじゃないかな、と思ったりw

ただ、それだけを言ってしまえば、他にも素晴らしい方々はたくさん居られるのですが…

そこを踏まえ、春さんの作品には魅力が溢れていました
めっちゃ雰囲気が好きでしたもん
あんまコメはできませんでしたけど←申し訳ない

あと
後半の遠野さんのイラスト
綺麗で繊細なタッチで描かれていて、春さんの作風とすごくマッチしてました

改めて
『アルファベットの旅人』の完結
おめでとうございます
そして
お疲れさまでした


長文になってしまって
申し訳ないです
ホントはもっと言いたいことがあったりなかったりw

おつかれ様でした。

  1. 2010/05/25(火) 01:34:08 |
  2. URL |
  3. ゆさ
  4. [ 編集 ]
春さん、おつかれ様でした!

ゆっくり、じっくり、読ませていただきました☆
何というか、もう、感無量です…(T_T)。。。
彼が「ヒナタです」と言ったとき、思わず涙が出ました!
本当に、本当に良かったと思いました。
ミーナが再登場したことも、アランとエレンにまた会えたことも良かった~。

ヒナタが世に出てから経験してきたことは、いいことばかりではなかったけれど
「普通に生活するのはすごいこと」と知ることができたのは
大きな収穫になりましたよね。
けど、普通の生活が正しいかというと、そういうわけでもない。
まだ迷っている感じがしましたが、これから得ていくものがたくさんあるはず。
いいことも嫌なこともたくさんあるでしょう。
その時々で彼はどう考えていくのでしょう。
ヒナタの未来を予感させる、素敵なラストだったと思いますvvv
あと、言葉遣いが変わっていないのもすごくよかったです!

あらためまして執筆おつかれ様でした。
登場人物ひとりひとりがとてもいとおしいお話でした。
そしてやっぱり、お母さんはたくましいですネ。かっこいい(笑)。
アスミが似てきたとのことで、お父さんが手を焼きながらもやさしく見守る姿が目に浮かぶようです(^▽^)。

遠野さんのイラストも目を引く美しさですね。
のどかな雰囲気が伝わってきます(^^)。
左端でくつろいでいるアスミが気持ちよさそう~。。
わたしも一緒にお昼寝したいですvv

ではでは、長文失礼しました~。(^o^)ゝ

お疲れ様でした!

  1. 2010/05/25(火) 09:17:41 |
  2. URL |
  3. 遠野 亨聿
  4. [ 編集 ]
ここまで、完走お疲れ様でした!
本当にこのラストは良かった…。
"アスミ"ちゃんと、"ヒナタ"君と、名前で呼べることって素敵です^^

読み直していて思ったのですが、この作品に出てくる子達って、皆が皆強い!!
根っこの部分が。
そこが惹かれるんだろうな、と思ったり。

自分も春さんの作品にちょっとだけ関われたこと、本当に光栄に思っております。

それでは、また^^
完結、おめでとうございます!

Re: タイトルなし

  1. 2010/05/25(火) 11:15:23 |
  2. URL |
  3. 花舞小枝の春
  4. [ 編集 ]
> リュ~クさん

コメントありがとうございます*^^*

> 小説を一つ完成させるというの

ね、難しいですね!!
1話ずつの結びですら……めちゃくちゃ苦手でした。
そうか、私だけじゃないんですね!!

> めっちゃ雰囲気が好きでしたもん
嬉しいです*^^*
雰囲気重視、ニュアンス重視すぎて恥ずかしい部分があふれていますが、
あぁでも、そんなコメントもらえてしまったら、
もう、いい☆

> 後半の遠野さんのイラスト
素晴らしいですよね……!!
もう、もう、私、しあわせもの過ぎてどうしようもないです。
遠野さんの絵、もう全体で大好きなのですが、
あの空気感とか雰囲気とか、温度感とか、スゴイ。
遠野さんファンクラブ入会希望なのです*^^*

コメント、本当にありがとうございました!
そして今後とも、
どうぞどうぞ、よろしくお願いいたします☆

Re: おつかれ様でした。

  1. 2010/05/25(火) 11:29:24 |
  2. URL |
  3. 花舞小枝の春
  4. [ 編集 ]
> ゆささん

ゆささーーーん!!
コメントありがとうございます*^^*

> 「ヒナタです」と言ったとき
私も、無事に彼に言ってもらえてよかったです。。。
それ書くの無理かも! とか、諦めかけてました……。
こんなんだけど、未熟ながらも、書けてよかったです;_;
ゆささん、
見守って下さっていて、ありがとうございます。

> まだ迷っている感じがしましたが、これから得ていくものがたくさんあるはず。
そうですね。
ちょっと冷静に見てみても、どうしても彼は、
今やっとマイナススタートを切れるのか!? くらいなもんなので。。。
ですが、
> ヒナタの未来を予感させる、素敵なラストだったと思いますvvv
と、言って頂けて、よかったです。

> あと、言葉遣いが変わっていないのもすごくよかったです!
あぁ、これ一安心です!!
よかったぁ*^^*

あのママンのたくましさ(と、パパの感じ)は私の憧れなので、
そこも突っ込んで頂けて、嬉しいです☆

> 遠野さんのイラスト
素晴らしすぎますよね!!
昼寝、しましょう!!!!
そして私、
ご本人の許可も得ていない非公式ですが、遠野さんのファンクラブ会員の心持ちです。
あんな絵を描いて頂けて……しあわせです……*^^*

ゆささんのあたたかくてまっすぐな言葉で綴られるコメントは、
いつもいつも、すごく嬉しかったです。
これからもどうぞ、よろしくお願いいたしますね*^^*
(私、絡みに行きますので、かまってやって下さいwww)
コメント、ありがとうございました☆☆

Re: お疲れ様でした!

  1. 2010/05/25(火) 11:41:54 |
  2. URL |
  3. 花舞小枝の春
  4. [ 編集 ]
> 遠野 亨聿さん

うわぁぁぁぁぁぁ
ありがとうございます;_;
こちらこそ……!
この1ヶ月くらい、遠野さんのお時間、いっぱい頂いちゃいました。
お疲れさまでした。
というか、ありがとうございました!!!!
もう、みんな遠野さんのファンになればいいんだ……!!
感謝の言葉が言い足りなくて、ほんと、苦しいです。。。

> 読み直していて思ったのですが、この作品に出てくる子達って、皆が皆強い!!
> 根っこの部分が。
> そこが惹かれるんだろうな、と思ったり。

嬉しいです!
死ぬ気で気合いいれるくらいのことしたら、実はみんなが持ってる強さなんじゃないかなぁ……なんてことを
とりあえず信じてみたい、ような気もしています。
どうだろう^^;

> 自分も春さんの作品にちょっとだけ関われたこと、本当に光栄に思っております。
これも、
こちらこそ、です!!
こちらこそ、本当に本当に、光栄で、有り難いです。

これからもどうぞ、よろしくお願いいたしますね*^^*
コメントありがとうございました☆☆

おめでとうございます!

  1. 2010/05/28(金) 19:51:38 |
  2. URL |
  3. びたみん
  4. [ 編集 ]
うああああんっ春さんもう大好きですっ
こんなに素晴らしい作品をありがとうございました!!

ヒナタにアスミ、素敵で綺麗な名前に本気で泣きそうになりました。
みんなこれからどんどん幸せになればいいよチクショウ!←混乱

アランとエレンに再開したシーンも心温まりました。

これからヒナタが遠くに行ったとしても二人は変わらずに待って行ってくれてヒナタに「愛」を与えてくれるんだろうなぁと妄想止まりません誰か止めて!!

執筆本当にお疲れ様でした!

Re: おめでとうございます!

  1. 2010/05/28(金) 23:09:40 |
  2. URL |
  3. 花舞小枝の春
  4. [ 編集 ]
> びたみんさん

わぁぁぁぁぁびたみんさん☆
最初に言いますが、私もびたみんさん大好きですっ!!!!

> ヒナタにアスミ、素敵で綺麗な名前に本気で泣きそうになりました。

よかった……。
これ、「ん? え、別に……あれ?」ってなったら終了のゴングだったので、
地味にものすごい緊張をしていました。
ボツにした、あんなのとかあんなのとかあんなのとかにしなくてよかったです。

> アランとエレンに再開したシーンも心温まりました。

ありがとうございます~*^^*
ユエとウルフを出せなかったことだけが、少し残念です・_・。

> これからヒナタが遠くに行ったとしても二人は変わらずに待って行ってくれてヒナタに「愛」を与えてくれるんだろうなぁと妄想止まりません誰か止めて!!

can't stop☆笑
2人の今後は、どうなんだろう。
でも2人ともヒナタ大好きだから、うん、
大丈夫かな、と思います*^^*

びたみんさぁぁぁん
びたみんさんにコメント頂けて、とてもとても嬉しいです*> <*
お疲れさまなんて……
どうもどうも、ありがとうございました☆☆

  1. 2010/06/01(火) 22:14:50 |
  2. URL |
  3. tama
  4. [ 編集 ]
うわぁぁぁぁぁぁ春さん完結おめでとうございます!!
やっと、やっと今読み終わりました(←どんだけ時間かかってるんだ)

も~完結の喜びと、終わってしまった寂しさと、ぐるぐるしています!
でも希望にあふれたラストに心が温かくなるのを感じました!
Aが笑えるようになって良かったっ本当に良かった(感涙

読み終えてみて、改めて春さんのお話はすごい力を持っていると実感しました。
ストレートに伝わる、と言いますか。。
キャラクターたちそれぞれが持つやさしさが素直に伝わってくるのです!
今なら私人に優しくできる気がする!

アルファベットの旅人。
こんな素敵な作品に出会えたことを本当に幸せに思います。
執筆お疲れ坂でした。
そしてこれからもどうか素敵な文章を紡いでいってくださいませvv

Re: tamaさん

  1. 2010/06/02(水) 09:01:18 |
  2. URL |
  3. 花舞小枝の春
  4. [ 編集 ]
tamaさん

コメントありがとうございます~~~っ☆
アンド読んで頂いてありがとうございますっ*^^*

> 希望にあふれたラスト
と、言って頂けてよかったです*^^*
あぁ~ここまで書いてよかった☆☆

> 今なら私人に優しくできる気がする!
じゃ、じゃあ私も……
混雑した新宿渋谷池袋じゃなければがんばれる……かも……?

tamaさま、コメントありがとうございました☆
アーンド、これからも、よろしくお願い致しますっ*^^*

  1. 2010/06/11(金) 22:53:55 |
  2. URL |
  3. 遠野秀一
  4. [ 編集 ]
こんばんは、遠野です。
実は昨日一気に読んでしまったんですが、
もう眠くてコメントする気力がwww

感動のラストでしたね。
でも、どうしても気になることがwww
あとでメッセします。それ聞かないとスッキリしないので。

まぁ、それはともかく。

「おれの名前は今日、今、できた。
 ……何かなんて、きくなよ? 名付けたのはあんただ。」
の下りが凄い好きです。

アスミに対する思いが、
この言葉に凝縮されている感じで
読んでいると、こっちまで嬉しくなりました。

アルファベットの名前を捨てて、
自分の名前と夢を手に入れたヒナタが
また家に戻っていくのも、もう……。

遅れましたが、完結おめでとうございました。

Re: 遠野秀一さま

  1. 2010/06/11(金) 23:59:32 |
  2. URL |
  3. 花舞小枝の春
  4. [ 編集 ]
こんばんは、春です☆

> 実は昨日一気に読んでしまったんですが、
おぉぉぉぉ!!
ありがとうございます*^^*

> メッセ
今、返信してきました☆
遠野秀一さまも、スッキリしてください☆笑

> 「おれの名前は今日、今、できた。
>  ……何かなんて、きくなよ? 名付けたのはあんただ。」
> の下りが凄い好きです。

ありがとうございます☆
あ、ちょっと私、泣きそう。笑
嬉しいです*^^*

こんな話数の話を読んで頂いて、
本当に本当に、ありがとうございました!!!!
今後ともよろしくお願いしますーーー*^^*!!

No title

  1. 2012/07/16(月) 03:22:03 |
  2. URL |
  3. 八少女 夕
  4. [ 編集 ]
ついに一氣読みしちゃいました!
今日は半分くらい行けたらいいな~と思っていたんですが、止まりませんでした。45ページからラストまで。
VIVA! ハッピーエンド!

途中であまりの切なさにどうしようかと思いましたが、終わりよければすべてよし。AとZのままではなくて、ちゃんとヒナタとアスミになって話が終わったのが嬉しかったです。

それに、出てくる人物、いい人もひどい人も全部ひっくるめて、ただの勧善懲悪ではなくて弱さや悲しみが書けているのが素晴らしいと思いました。大屋敷のミスターもペドフィリアのひどいヤツだけではくくれない部分があって、そりゃヒナタやアスミは許せないでしょうが、私はどこか「可哀想なヒト」と思ってしまったりもして。

最後まで読み終わってから、再びステータスの記事を読むと、もっと味わいがありますね。

もう一つのお話も近いうちに読ませていただきます。

いいお話をありがとうございました。

Re: あらためまして八少女 夕さん

  1. 2012/07/16(月) 20:57:47 |
  2. URL |
  3. 花舞小枝の春
  4. [ 編集 ]
あらためまして、八少女 夕さん・v・

>45ページからラストまで

まままマジすか!
うわぁぁありがとうございます! 長いのに……!!

> 終わりよければすべてよし

はい~
水面下から浮上したところまで、なんとか、書けたかなと……!!
2人の名前は、
自分はキャラクターの名前を考えるのが苦手なので、ちょっとがんばりました。笑

また、「もう1つのお話」は

> 大屋敷のミスター

の話です。
ちょっと毛色が違いますので……どうだろう^^;

こちらもご覧頂けますと嬉しいです*><*

うわぁーーーんこちらこそ、
本当に、ありがとうございました!!

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