旅の空でいつか

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死神と、はじまりの路地裏。

  1. 2010/04/07(水) 13:34:40|
  2. ★完結★ 『ハミングライフ』シリーズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:10

※作品一覧はコチラです



これがどんな話になるのか。

まだ全然、なぁんもできていませんが、
どうも最近、私の頭の中での自己主張が激しく、
そろそろガマンできなくなってきたので

ちょっとだけ、お披露目です。


『ハミングライフ』ってタイトルはつけてみたものの、
え、シリーズなの?
…って、まだ自分でも「?」がついちゃうような感じです。
なので、タイトルも(仮)です。


※シリーズです。決めました。
 タイトルが自分でもお気に入りすぎる感じですし…。笑
 なので、(仮)は、解除しました☆



このお話には、あれですね、
あの人が出てきますね。
『アルファベットの旅人』ではおなじみの彼。
……わかるでしょうか。

隠せないので、曝してみました。
隠せない自分が、口惜しい限りです。


そんなんでもいいよー!!
と、言って下さる、心優しい方は、
「続きを読む」から、どうぞよろしくお願いします*^^*


ちなみに、作品一覧はコチラです♪

***************



その先が行き止まりだ、と
少年にはわかっていた。

生まれ育った街でも、長く住んだ場所でもないけれど、
仕事場の地理くらいは、いつもちゃんと頭に叩き込んでいる。


それにも関わらずこの少年が、
少しずつ、確実にそこに追いつめられているのは、
“気配”があったからだ。


“アイツら”ではない。
警衛士でも、おそらくない。
どちらともが自分を追って来ていることも知っていたけれど、
でも、今自分に迫っている、このどんどんと距離をつめてくる“気配”は、違う。


本来なら、少年が逃げる必要なんてなかった。
負けるはずがないのだ。
そう、本来なら。


けれど今、少年の肩には傷口。
ナイフに何か仕込まれていたのだろう。
痛みのせいだけではなく、指先の感覚が薄れていっている。
そして、意識も。
眠くて仕方がない。

こんな痛みの中で感じる眠気なんて。
冗談じゃない。
少年は思う。

肩のケガだけなら、いいのだ。
それくらい。
けれどこの眠気はやっかいだった。
この“気配”を持つ誰かと向かい合った時でさえ、
自分が起きていられる自信なんて、全くなかった。

だから、逃げるのだ。


“アイツら”の気配を避けて、
警衛士たちの気配も避けて、
その両者を避けながら、この入り組んだ路地から逃げ道を探すのは簡単ではなかった。
けれど不可能ではない。

路地が、入り組んでいればこそ。

肩にケガを負おうとも、
そのせいで感覚をなくしたり、眠気を感じようとも。
仕事場の地理くらいは、ちゃんと頭に叩き込んでいるのだから。


けれど、その“気配”がジャマをした。


“アイツら”の気配を避けて、警衛士の気配を避けて、
そうして逃げ込む先に、なぜか先回りをしてくるその“気配”。

その、3つ目の“気配”をも避けているうちに、
次第に少年は、追いつめられて行った。

焦りが生まれる。
生まれた焦りは、次第に少年の中でふくらみ始める。

静かに歩いていたのが、次第に早歩きになり、やがて小走りになる。
ケガのせいもあるだろうけれど、
息を切らして逃げ込む少年の、その進む先に
しつこく、確実に、その“気配”はあらわれる。

確実に追いつめられて行く。
確実に。
確実に。


__この先は行き止まりだ。

少年にはわかっていた。
けれど気づけばもう、
そこ以外には、進める道は残されていなかった。


薄暗い路地の奥。
その、さらに奥の、奥のほう。

目の前には、壁。
左右には、4階だか5階だかの高さのある薄汚い住居。
肺が酸素を求めるそのままに呼吸をすれば、
日が当たらないせいでジメジメした、
投げ捨てられたそこらじゅうのゴミが生み出したみたいな空気が身体に入って来るのがわかって、
うっすらと吐き気がする。


“気配”は、もう、すぐそこに迫っていた。
あと7歩で、その“気配”は曲がり角に辿り着く。
それがわかる。
その角を曲がりさえすれば、もう少年は目の前だ。


「……」


小さく舌打ちすると、少年は壁に背を向けて、ナイフを取り出す。

肩のケガのせいで、利き手の指先にはすでに感覚がない。
けれど逆の手でナイフを握ることだって、慣れていないわけではない。

だって、やるしかないじゃないか。
利き手が動かなくたってなんだって。
やらなきゃ、やられる。
……少年はただ、そう思う。


荒れた呼吸を整える。
吐き気には気づかないフリをする。
どんどんとひどくなっていく眠気に塗りつぶされないように、
自らの手で、肩の傷口を少し開く。
痛みに声が出そうになるのは、耐える。
今は、この痛みこそがありがたいと思った。


(来るなら来い)


ナイフを構えた、その数秒後。
自分を追いつめたその“気配”の主が、姿をあらわした。
姿はよく見えない。

……路地裏の、薄暗さのせいだけではなく。
地味なベージュ色の大きめのコートをはおって、目深にフードをかぶっている。
見えるのは、口元だけだ。

だから、「細身の男だ」と、
少年に確信が持てたのは、それくらい。

背は低くはない。
細いけれど、動き方から、その服の下には鍛えられた筋肉があるとわかる。

「……」

ナイフを構え直す少年に、
フードの男は、小さく笑って言った。

「あー、と、そのナイフ、ひっこめてもらってもいいかな?
 話がしたいんだけど。」

もちろん、少年がナイフを手放すことはない。
その様子を見てフードの男は、今度は苦笑すると、
「じゃあ、ちょっとごめんね。」
言って、小さく口笛を吹いた。


「!」


瞬間、
少年の頭上から影が走って、ナイフをたたき落とされた。

(な、に……?)

勢い良くたたき落とされたナイフは、泥と埃にまみれた地面を転がって、
今は、フードの男と自分との、ちょうど間のあたりにある。

「……!」

影の正体はわからない。
もう少年は、自分の手からナイフを奪ったモノの姿を、どこにも確認することができなかった。
自分と男の間にあるのは、
今は、拾うことの難しい距離にあるナイフだけ。

ナイフを失った手が行き場を失って、
少年は無意識に、その手で傷を負った肩口をかばった。


フードの男は、
ゆっくりと、少年との距離を縮める。

少年は後ずさる。
けれどその背は壁にあたって、少年をその先に進めることはない。
退路はすでに、断たれているのだ。


フードの男は、近づいてくる。
足元のナイフは脇に蹴りやって、ゆっくりと。


やがて男は、少年の目の前に辿り着く。
少年にはまだ少し遠いけれど、男ならば、その腕を延ばせば触れることができるだろう。
それだけの距離。

そしてフードの男は、口を開いた。

「きみの仕事、見てたよ。」

少年は何もこたえない。
こらえられない。

見ていた?
見られていた?
最悪だ。

見られていた気配など、少年は感じなかった。
“仕事”しているところを見られるなんて、致命的だ。

けれど、そうか、とすぐに納得する。

最近、仕事が失敗続きだったのは、この男のせいだったのか、と。

少年は、自分よりも背の高いフードの男を
下から見上げるようにして、睨みつける。

フードの男は、
__少しだけ困った顔をして、笑った。


綺麗な顔立ちだ。とても。
けれど薄暗いから、これだけの距離にいてもなお、
少年の目にハッキリと、その顔が見えることはなかった。

それでも、その美しさだけは、わかる。
綺麗だ。
人間じゃないみたい。
瞳は、深い青。


「っ……」


その、青い瞳を見た途端に
少年を、あのひどい眠気が襲った。
立っていられなくて少年は、
背を壁にすりつけるようにして、ずるずると、落ちていく。
もう立っていることもできない。


少年は思う。
目の前の、この、美しい男。
死神とか、なんか、そんなモンなんじゃないか。

少年はそんな存在を信じていたわけではなかったけれど、
けれど、今、自分の身に起きている状況と、
目の前の男の、人間離れした美しさ。
それらは、
眠気で意識を飛ばしかけたこの少年に、そう思わせるだけの力を持っていたようだった。


その少年の様子に気づいたフードの男が、
しゃがみこんで、少年と目線をあわせるようにしてから、口を開いた。


「きみさ、ぼくと一緒に来ない?」


少年は、気を緩めれば閉じそうになる重い瞼を懸命に開いて、
死神のようなフードの男をにらみつけると、
「!」
つばを吐きかけてやった。

フードの男は、自分の胸元に吐きかけられたつばを見つめると、
「……」
何も言わずに立ち上がり、
吐きかけられたつばのその奥の懐からタバコを取り出して、
 <カチッ>
ライターに火をつけて、一服しだした。

……ふぅ。
建物に区切られて、ほとんど見えない空に向かって、男は煙を吐き出した。

せっかく禁煙してたのに、ここに入ってること、思い出しちゃったじゃん。
きみのせいでまた失敗。

苦笑して言いながら男は、ゆっくりと、煙をくゆらせた。

タバコを吸うのにジャマだったのか、フードを外す。
こぼれ落ちたのは、
やわらかい金色の、男にしては少し長めの髪。


綺麗な死神だ。
本当に、綺麗な。
そう、少年は思う。

こんな状況で、
こんなひどい痛みの中で、
今にも気を失いそうな眠気の中で、
それでも、目が離せない。


煙の行く先を追っていた男の目線が、
ふいに少年に向けられた。

急に目が合って少年は驚いたけれど、
それを悟られるのもイヤで、ただ、男を睨みつける。


綺麗な綺麗な男は、自分の足元で動けずにいる少年に
それはそれは、美しい笑顔を向けると
「ぅあ!」
少年の肩口を、
その傷を押さえている手のひらごと、壁に蹴り付けて、押し付けた。

強い力ではないけれど、
けれど男の、その足の一本だけで、少年は動けなくなる。


「じゃあさ、選んでよ」

美しい死神は言った。

「その傷、ただの傷じゃないでしょう。
 眠くなってさ。ナイフにそういう薬がついてたんだよ。
 今は腕だけだろうけど、そのうち身体中が痺れていって、
 最後に心臓までしびれて、動かなくなる。そんなヤツだよ。」

まぁ、たぶんだけどね。
そう言って、続ける。
「だからさ、選びなよ」と。

「このままココで死ぬか、きみを追ってる誰かさんたちに捕まって殺されるか、
 警衛士に捕まって“仕事”のこと洗いざらい喋らされてから……それからやっぱりその誰かさんたちに殺されるか、
 それか、ぼくと一緒に来るか。」

どれがいい?
簡単じゃない?
それともきみ、死にたいの?
そんなことを言いたげに、笑顔を向けてくる美しい死神に向かって
少年は言う。

「お前が死ね」


タバコの灰をぽろりと落として、
少年の言葉を聞いて少し驚いたらしい美しい死神は

「上等!」

と言うなり、
やっぱり、それはそれは美しい笑顔を見せて、そして
「ぐ……!」
少年のみぞおちを蹴り上げた。


美しい死神の足先は、少年のみぞおちにキレイに入って、
そこでついに、少年は意識を失った。

薄れて行く景色の中で少年は、
「ごめんね」
美しい死神が、自分に謝っている声を聞いた。

気を失う寸前の、
それが、少年の最後の記憶。


……そしてこれが、全ての始まり。



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comment

おおぅ

  1. 2010/04/07(水) 14:18:32 |
  2. URL |
  3. BlackSmith
  4. [ 編集 ]
じ、序章っ!だめだ続きが見たくなるっ!

個人的に完結してるお話が好きです。だってほら!この妙な疼きが奇麗さっぱりなくなって「そういうことだったのか!」ってなるじゃないですk(略


あ、急かしてるわけじゃないんで(・ω・;)
気長に待ちます。気長に。

Re: おおぅ

  1. 2010/04/07(水) 16:10:14 |
  2. URL |
  3. 花舞小枝の春
  4. [ 編集 ]
> BlackSmith さん

コメントありがとうございます*^^*
すみません、気長に待っててやってください^^;
このあと、たぶんしばらくは、
「アルファベットの旅人」か“ふらっと”なSSか、を
がんばりたいと思っています!
が、
『ハミングライフ』も、なんとマイテーマソングまでできてきちゃったので、
そう日をあけずに、続きを書ける…と、思います。(仮)

またぜひ、感想・コメントなどいただけると嬉しいです!
コメントありがとうございました☆

春様

  1. 2010/04/07(水) 20:28:02 |
  2. URL |
  3. [ 編集 ]
わー///
気になるお話しですねぇww

春様の書く小説で出てくる男の子(少年)は皆強いですね☆
なんかカッコイイですよぉぉおお!!
そして少年の正体…www
金髪で青い瞳って…続きを楽しみにしていますね♪

でも先に「アルファベットの旅人」がもう気になっていますwww←
ゆっくりと執筆…頑張って下さいませ///
ポチッとさせていただきますねww

  1. 2010/04/07(水) 20:58:15 |
  2. URL |
  3. 花舞小枝の春
  4. [ 編集 ]
>夢さま

コメントありがとうございます☆
「強い」子が好きなわりに、強い描写は苦手な私ですm(__)m

金髪に青い瞳…
少年ではないんですけどね( ̄ー ̄*)ニヤリ

次はアルファベットですよ☆
がんばります!またぜひ、いらしてくださいませね♪
夢さんがいらして下さるの、いつも楽しみにしています(*^^*)

コメントありがとうございました☆

no title

  1. 2010/04/07(水) 23:59:10 |
  2. URL |
  3. 遠野
  4. [ 編集 ]
おぉ、いきなりピンチですねw
続きが気になる感じで、掴みはバッチリですよ。
面白そうな話で楽しみになりますね。

前の話を読めばもっと楽しめそうなので、
今後時間がある時、多分5月くらいになりそうですが、
その辺りに全部読ませてもらいます。

あと、キムチやっこを気に入ってれたようで嬉しいですw

Re: no title

  1. 2010/04/08(木) 00:20:18 |
  2. URL |
  3. [ 編集 ]
> 遠野さん

コメントありがとうございます*^^*
はい、なんだかピンチです。
掴みはよかったようで、安心しました!笑
前の話は、今の段階だと、まだそんなに楽しめるかどうかは…わかりませんが…
5月あたりだと楽しめるようになっているかもしれないので、
ちょうどいいかもしれません☆
また、感想いただけると嬉しいです*^^*

キムチやっこ、とても気に入りました。
本当に、料理には手のつけられない私でも(お酒は好きなので)作りたい!って思いました♪
ありがとうございます♪

また、遊びにいらしてくださいね☆
コメントありがとうございました!

はじめまして!

  1. 2010/04/10(土) 11:58:59 |
  2. URL |
  3. きゃわたん
  4. [ 編集 ]
前から度々お邪魔していたのですが、はじめてコメント書かせていただきます♪こちらのブログにも何回か訪問してくださっているみたいで、ありがとうございます☆

新作、シリアスな感じでいいですね。
続きが気になります(^-^)

「アルファベット」の方は、まだ全部読めていないのですが、
またちょこちょこ拝見させてもらいますね♪

Re: はじめまして!

  1. 2010/04/10(土) 13:01:37 |
  2. URL |
  3. [ 編集 ]
> きゃわたん さん

こんにちは!コメントありがとうございます*^^*
はい、きゃわたんさんのところにも、何度かおジャマしています☆
ゴメンナサイ、まだちゃんとは読めていないのですが、
物語の設定とスキンがステキですっ☆

アルファベットの方は、気づけば、話の数も増えてきましたし、
お時間ができた時にでも、ぜひ、読んでいただけると嬉しいです^^;
(辛口にでも、ご感想いただけると嬉しいです)

コメント、ありがとうございました☆

  1. 2010/06/26(土) 12:54:31 |
  2. URL |
  3. 美柑
  4. [ 編集 ]
初めましてですっ(*´ω`*)

続きが気になる・・・! ←
私は小説とか書くのが苦手なので尊敬します///


迷惑じゃなければ(←)また来ますw

Re: 美柑さま

  1. 2010/06/27(日) 19:07:40 |
  2. URL |
  3. 花舞小枝の春
  4. [ 編集 ]
はじめまして、春です!

うわわわ、ありがとうございますっ!!
私は文章しか書けないので(それも素人ですが)
絵を描いていらっしゃる方、尊敬します*^^*

あぁぁぁぜひぜひ、またいらしてくださいませ☆☆
嬉しいですっ*>▽<*

コメント、ありがとうございました☆☆

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