旅の空でいつか

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6章(2);彼の梅雨明けの話

  1. 2012/07/15(日) 22:43:02|
  2. ★完結★ 『真空パックと虹色眼鏡の物語』シリーズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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みなさまこんにちは、春です・v・

本日も『真空パックと虹色眼鏡の物語』です。
自分のせいですが
タイトル長くてちょっと面倒くさいです。

今日はあの彼の話です。
今日も短めです。

ブロともさんにお二人も「おめでとうございます!」な方がいて
とてもおめでたい気持ちになっております・v・
末永くよろしくお願いいたします~!!


さて、次は主人公たちのお話になりますが
そっから先はラストまで早いんじゃないかな、と思います。

更新は遅いけど。


ではでは、
《続きを読む》よりおすすみくださいませ・v・





***************


夏が来ると思い浮かべるのは、ユウキの顔だ。
あの、夏の空みたいにスコーンと高く突き抜けている、
とびきりバカなあの女の顔。
だから俺は夏になると、
いつも、少し複雑な気持ちになる。

ユウキとは幼なじみだ。
家はそう大して近くはなかったけれど、
幼稚園も一緒で、親同士の仲もよかった。
だからクラスが違っても、アイツとはしょっちゅう遊んでいた。

「あんたたち仲いいわねー!」
「もう10年かそこらしたら、あんたたち結婚しちゃいなさいよ。
 よかったわねーあぶれないですむじゃない」

そう言って笑い合うお互いの母親たちに
「誰がこんなヤツと!」
と、2人して言い合ってはいたのだが、
残念ながら、俺のほうだけは満更でもない気持ちでいた。

小学校の高学年から中学の3年間は、ずっと同じクラスだった。
お互い彼女やら彼氏やらつくるような年齢になって、
俺にもユウキにも相手ができたりしたけれど
それでも「いつかは」とか、思っていた。
母親の「あんたたち結婚しちゃいなさいよ」という言葉。
そうだな、いつかは……と、思っていたのだ。

ユウキに彼女ができたと知ったときは驚いたけれど、
女がいいとかそういうことではなく、男も女もいい、という志向なのだと聞いたので安心した。
望みがないわけではないのだ、と。
そして、じゃあやっぱり「いつかは」と、そう思えていた。
俺もあいつも、ふらっふらいろんな恋人をつくったけれど
それでも、お互いにお互いのことを大事にも思っていたし、
恋人ができたぐらいで揺らぐ程の関係でもなかったから。

もちろん、
別の男やら女やらとセックスするくらいなら俺とだって、という気持ちがなかったわけではないけれど、
そこはまぁ、俺にだって相手がいたわけで、お互い様だな、と思っていたのだ。

けれどその「いつか」の希望が消え、
これは俺の生涯の片思いになるのだろうとわかってしまったのは、高校の時だ。
1人の女を紹介された。
美咲だ。

「……」

あの時の気持ちをどう表現していいのかはわからない。
どうして、好きな相手からセフレを紹介されなければいけないのか。

紹介された美咲との対面の時、
隣で彼女の肩を大切そうに抱くユウキの姿を見て、わかってしまった。
彼女は美咲にほれているのだ。
今までの彼氏やら彼女やらとは、きっと違う。
しっかりとまわした腕が、まるで壊れ物にさわるみたいに丁寧で、
それだけで、わかってしまった。

美咲をたくされて、
美咲を泣かせんなよと厳重に、真剣に釘を刺されて、
アイツはそのまま去って行ってしまった。

あの時の俺の気持ちは、絶対にユウキにはわからないだろう。
惚れた相手に、その彼女自身の惚れた相手をセフレとして紹介されて、
取り残されて、
「え、これ俺どうしたらいいのよ」って、思わないヤツがいるわけがない。

地味な化粧に隠されてはいたけれど、美咲はとびきりの容れ物を持った子だった。
一方で柔らかそうな大きな胸と掴みやすそうな細い腰は、着こなしでは隠しきれていなかった。

この時美咲には、おれは腹を立ててもいたのだ。
「ユウキに紹介なんてされやがってこのやろう」と。
「どうせやるならユウキがいいのに、どうして」と。
だから、
美咲は見た目も触り心地もよさそうだったし、
腹立ち紛れにとりあえずセックスしておいて
それでこの女の気もユウキの気もすむのならそれまでだ、とも思っていた。

ただ、表情が気になった。
セックスどころか、恋人やら好きな人やらをつくりたくてユウキに男を紹介させたとか、
そんな待ち望まれたような表情は、一切見せてくれなかったから。
むしろあの時の美咲の表情は
怯えているか怒っているか、としか思えないようなもので
やっぱりどうしていいのかがわからなくなった。
しかも、聞けば俺は初めての相手になる、らしい。
ますますどうしていいのかがわからなかった。

仕方がないから、話をした。
そのまままっすぐホテルなり俺の部屋なりに連れて行ってもよかったのだけれど、
そんなことしたら後味の悪いことになってしまいそうだったからだ。

どうでもいい話をしているうちに、美咲の表情は少しずつ明るくなっていった。
怯えているのでも怒っているのでもなく、ただ緊張していただけだったのだろうと思えて来た。
彼女が笑顔を見せてくれるようになってから、ホテルに行った。
「とりあえず、やっとくか」
と、俺はもうそう思ってはいたのだけれど、
初めての行為は恋人ではない男と、なんてことを望んでいるわりに
美咲は性行為自体に、何の期待もしていない人間に見えた。
だから、本当にいいのかと、確認してみたのだ。
俺はいい。
相手が美咲かそうでないかに関わらず
リスクヘッジはするし、何かあれば、とれる責任ならとる。
けれどとりきれない責任もあるし、
その場合の負担は大抵、俺よりも相手の方が大きく負うことになるのだから。

「やっぱりやめる」

そう言い出すのではないかと思っていたけれど、
美咲はむしろ、安心を深めたようだった。
変わった女だと思ったけれど、それならば、と
俺はユウキの望みを叶えた。

その後美咲とは、長いつきあいを続けることになった。
ユウキと3人でもよくつるむようになった。
俺の惚れた女、その女の惚れた女、その女のセフレの俺、という関係はどう考えても歪だし、
惚れた女の方は相変わらずのバカで鈍いヤツだから、俺のことにはいっこうに気づきもしない。
どこまでも不毛だったが、まぁ、楽しかった。それも本当だ。

美咲は次第に俺以外のセフレを持つようになり、
その相手たちはことごとく残念な男ばかりだった。
俺が口出しするようなことではないのだとはわかっていたけれど、
この頃はすでに、俺も美咲に友情を感じるようになっていたし、
なんと言っても、ユウキの大事に思っている相手なのだから、
無下にはできないし、心配なことこの上なかった。
俺でさえそうなのだから、ユウキはもっと気が気ではなかったのだろうけれど
彼女は根気強く、いつも美咲の傍にいた。
だから俺も、その傍にいた。

そんな日々が続いて、
それぞれの進路を決めて、高校を卒業した。
ユウキだけが地元に残り、俺と美咲とが東京に行くことになった。

「あんたがいてくれてよかったよ」

ユウキは言った。

「あんたなら、信用できる。美咲をよろしくね」

そう言って、笑った。

ユウキはバカだ。
バカみたいにお人好しで、
バカみたいに明るく笑う。
バカみたいな片思いを、
バカみたいに本気で大切にしている。

言われた季節は春先だった。
けれど、晴れた日の夏の空を思った。
ユウキはバカなのだ。
バカみたいに明るい笑顔で、突き抜ける。

「まぁ、仕方ねぇな。美咲は男関係バカだしな」

「ね。あの子、男見る目ないからね」

見る目のないバカはお前だ。
心底そう思ったけれど、一生俺に惚れることのないだろう女に片思いをしているのだから、
見る目のないバカ、なのもきっと、お互い様なのだろう。


夏が来ると、いつも複雑な気持ちになる。
バカみたいな暑さと空の青さに
突き抜けた笑顔のユウキの顔を、どうしても思い出してしまうからだ。

だから俺は、夏が好きだ。


(to be continued...)




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comment

No title

  1. 2012/07/16(月) 00:09:09 |
  2. URL |
  3. 八少女 夕
  4. [ 編集 ]
もう、やだ~。
他の全員が不器用でもこの人だけは大丈夫だと思っていた雄大さんが!
あなたが一番不器用なんじゃないっ。
これで「そろそろけっこんしよっかな~」とか彼氏なんか紹介されちゃったりしたら、可哀想すぎるじゃないですか。
だったら、手遅れになる前に黒歴史がバレちゃえばいいのに。
主人公よりも肩入れしてどうするんだと思いますが。

「アルファベットの旅人」また少し進みました。これから「続・ある日のこと」です。ちょっとAさんの状態に不安を持ちつつ読み進めています。Zちゃんにはユエちゃんとウルフがいるから、安心して付いていけるんだけれど……。

では、また次回も楽しみにしています

No title

  1. 2012/07/16(月) 15:20:35 |
  2. URL |
  3. TOM-F
  4. [ 編集 ]
こんにちは、TOM-Fです。

きましたね、黒歴史第2弾。
彼の相手は、この人でしたか。
雄大くん、のんびりしてると、誰かにひょいっと浚われてしまいますよ~。タイミングって、とても大事ですからね。黒歴史バレなくても、ここは押しの一手です(キリッ)

それにしても。
なにやら、並べ終わったドミノのような人間関係になってますね。均衡が崩れたときの倒れっぷりが、ちょっと心配です。
そろそろ、美咲&マサキあたりから崩れ出しそうだし……。

ラストまで、展開早いんですか。
なんか、もっとこの子たちのお話しを読んでいたいところですが、結末も気になるし。
いよいよもって、次回の更新が楽しみなような、ちょっと怖いような。
いえ、楽しみです、やはり。

思いついたままの感想を書いているだけなので、喜んでいただけて、こちらこそ嬉しいです。

では、では。

Re:八少女 夕さん

  1. 2012/07/16(月) 20:35:07 |
  2. URL |
  3. 花舞小枝の春
  4. [ 編集 ]
八少女 夕さん、こんばんは!

> 雄大さん

不器用なくせに、彼はどうにも
言動に安定感がありすぎていて、はかりきれません。

そして
> 手遅れになる前に黒歴史がバレちゃえばいいのに。
とは私も思いますww

あそしてアルファベットの方、ありがとうございます!
もいっこ別個でコメント書かせてください^^;

Re: TOM-Fさん

  1. 2012/07/16(月) 21:14:22 |
  2. URL |
  3. 花舞小枝の春
  4. [ 編集 ]
TOM-Fさん、こんばんは☆

> 雄大くん

彼は実力派、なぶん
運とかタイミングは悪くはないけど、あまりそれらに頼らずにやってきてしまったので
どうかな……。笑

> ここは押しの一手です(キリッ)

これはもうまったくですね!!!笑
押さなきゃ永久に気づいてもらえないので^^

ラストまでは……
もう3分の2かそれ以上くらいまでは話が進んでいるので、
はい、まぁもうそろそろかなぁ、と。

もう少し、よろしくおつきあい頂けますと嬉しいです*^^*


コメントありがとうございました☆

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