旅の空でいつか

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4章(1);「好き」の話

  1. 2012/05/14(月) 21:18:56|
  2. ★完結★ 『真空パックと虹色眼鏡の物語』シリーズ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
※作品一覧はコチラです


みなさまこんばんは、春です。
ちょっとお久しぶりです・v・

更新が1ヶ月ちょいあきました。
ので、お花見のお話はパスです。
書くつってたくせにごめんなさい。

今回は、2話連続の話です。

久々の更新なのでちょっと緊張しています^^;

ではでは、《続きを読む》よりおすすみください☆





***************

「美咲さんは?」

そう、聞かれた。
ほんの数日前の出来事。
その時美咲は、真崎にどう答えていいのか、
その言葉を持っていなかった。

けれど今は違う。
このわずか数日で、気づいてしまったせいで、
自分は随分変わったと美咲は感じている。

「……」

少しだけ緊張しながら言葉を紡いだ。
自分の顔がどんどんと赤くなっていっていることには気づいていたけれど、
この瞬間を大事にしたいから、
照れるけれど、がんばって真崎の目を見つめ続けた。

「私は、……」

その言葉を告げ終えてから、美咲は質問を返した。

「真崎さんは?」

同じようなことを以前にも尋ねた。
本当に、ほんの数日前の出来事。
その時彼は、美咲には答えてくれなかった。

けれど、今は違う。
ちゃんと言葉にして、美咲は伝えたのだから。

美咲に尋ねられたせいで随分と顔を赤くして、
少し困ったような、けれど嬉しそうな笑顔を浮かべて真崎は答えた。

「僕も、……」

今度こそ、真崎も応えた。

それからお互いに顔を真っ赤にして、
けれどお互い、それぞれの笑顔を浮かべながら身を寄せた。
何も隔てずに感じられる体温は、とても心地よいものだった。

***************


「みさき、結局実家帰らないんだっけ?」

「んー、予定ない」

ゴールデンウィークのその次の週、
美咲は雄大とともに、地元に戻っていた。
雄大は実家に戻ったが、美咲はユウキの家に泊めてもらうことにした。
この日は朝から、雄大とも誘い合わせていて
今は3人、小さなカフェで一息ついているところだ。

「うちにもう一泊する?
 うちの両親も、美咲に会うの久しぶりで喜んでたし」

「ほんと、昨日泊めてもらってありがとうね。
 私も久々おじさんおばさんと会えてよかった。
 けど、うん、でも帰るよ。ゴミ捨てて出てきてないし」

「俺はもう1泊くらいしてきたいなぁ。
 せっかくこっち帰って来て、ユウキとは久々だしなぁ」

「いや、本当にそうなんだけど。
 ちょっと向こうに気になることあってさ。
 そうそう、その話もしたいんだよ。ユウキきいてよ」

「“彼氏”の話だね? 聞くよ聞くよー!
 昨日は懐かしい話ばっかで全然聞けてないし。
 つか、いろいろ1から説明してよ!
 私、あんたと雄大からとの電話で
 やっとちょっと知ってるだけなんだからさー」

雄大もユウキに、マサキの話をしていたのか。
美咲には初耳だった。
別に何の問題もなかったけれど、驚いた。

その美咲の表情に気づいてユウキが言う。

「だって、私の大事なみさきの初めての彼氏だもん。
 気になるよ。
 雄大も会ったんでしょ? えと、マサキさんだっけ?
 どんな人?」

「んー、なんかあんまりつかみどころない。
 歳は2個上らしいけど、ちょっと年齢不詳。
 綺麗な可愛い顔してたけど、アレは別に美咲のタイプじゃないよな」

「そうなの?」と聞かれて、美咲は素直に頷く。
「背高いのに童顔すぎて、最初はちょっと気持ち悪いとか思っちゃった」とまで言ってしまって、この話は言い過ぎだったかと少し反省する。

「つかさ、雄大、
 夜桜見に行くの自分も一緒に行きたいとか言い出したの、
 あれ真崎さんのこと見るのが目的だったの?」

「気づくの遅いなおい。別に隠してもなかったのに。
 そうだよ。
 あっちはすぐ気づいたみたいだけど」

「えーなにそれ!
 ちょっと、あんた失礼なことしてないでしょうね。
 つか余計なこと言ってないよね?」

「言わねぇよぉ。
 そこは信用しろって。おれも余計なこと言って変に構えられても面倒だし」

それはそうだろう。納得する。

「で、で、どんな人なの? もっと詳しく!」

ユウキが身を乗り出す。
受験のあたりから伸ばし始めた彼女の髪は綺麗に薄い茶色で、
カールされた毛先が胸元で揺れている。
なんだかゴージャスだと美咲は思う。

ユウキの問いに答えたのは雄大だった。

「男見る目がない美咲にしては、悪くない。
 素晴らしい! とは言わないけど、まぁそんなに不安はないかな」

「おー、雄大は男を見る目が厳しいからね。
 あんたがそういうなら、なかなか悪くなさそうだね」

「え、私って男見る目ないの?」

「「ないと思う」」

2人の声がそろった。
そうだったのかと不思議な気持ちになる。
美咲自身には、そんな自覚は全くなかったのだ。
ロクでもない男はよく寄ってくるけれど、
自分で選ぶ分に関しては、なかなか悪くなかったはずだと思っていたのに。

けれどマサキと付き合うことになってからの、
それまで関係していた男達のことを思えば、2人の言い分には説得力があるような気もした。

「で? 仲良くやってんの?」

「あぁ、うん、問題ない……と思う、んだけど」

「だけど?」

少しだけ気になっていることがある。
それはつい一昨日の夜の話で、美咲が早く帰りたい理由だ。

「えと、まださ、好きとか言ったり聞いたりしたことなくて」

ほうほう、と今度はユウキと雄大との2人ともが身を乗り出す。

「付き合ってるってことは、好き同士なのが当たり前なんじゃないの?」
そうユウキが言うのに
「いやぁ。付き合おうって言われたからなんとなく、みたいな
 惰性みたいのもあったりするじゃん」
と雄大が答え、たしかになぁとユウキも納得している。

「私もそう思うんだよね。
 付き合うとか自体、私よくわかんないけど、
 まぁいろいろなんだろうなぁとは思うのね。
 で、あらためて考えたら、真崎さんはどうなのかなって思っちゃって」

そもそも、自分たちが付き合うことになった経緯からして
美咲が一方的に、強引に話をすすめたかたちなのだ。
だから少し不安になる。

最初は別に、気にならなかった。
一緒にいて楽しいし、落ち着くし、
なのになんだか、時々たまらないような気持ちになる。
自分にその気持ちがあればそれだけでいい。そう、思っていたのだけれど。
そんなことを話す美咲にユウキが尋ねる。

「あんたたち、付き合いだしてどんくらいだっけ?」

「来月で半年になるよ」

美咲の答えに、ユウキは少し考え込む仕草を見せた。

「……で、なんで今さらそんなこと気になってるわけ?」

「え」

ユウキの発言を聞いた雄大はニヤニヤし始める。

「おー、そうだよそうだよ。
 それどんな心境の変化なわけ?
 今まで別に、気になってなかったんだろ?
 一緒にいてそれなりにいい感じなら、そのまんまでもよさそうじゃん」

「それは、そうだよね……」

その通りだと美咲も思う。
けれど、どうしてだろう。スッキリしない。

一昨夜、シャワーを浴びに行くのもなんだか億劫で
2人して裸のままゴロゴロしながら
本当になんの意図もなく、美咲は尋ねたのだ。
「私のこと、好き?」と。
何となく言ってみただけ。そんな、軽い気持ちから出た言葉だった。
マサキからも当然、「あぁ、うん好きだよ」と
軽く、けれど少し照れたように返ってくるだろうと思っていた。
その照れた顔をただ、見たかったのかもしれない。

けれど返って来たのは、予想とは少し違う言葉だった。

「美咲さんは?」

そう、聞き返されたのだ。

「……いやあんた、それ別に普通のやりとりじゃない?」

聞いたユウキが「話が見えない」といった顔で言ってくる。
雄大も頷いている。

普通のやりとり。
たぶん、そうなのだろう。
ひっかかることもなく、自分もただ「好きだよー決まってるじゃん」とかなんとか、
答えればよかっただけなのかもしれない。
けれど、言えなかった。

美咲がそう答えれば、
今度はユウキも雄大も、あきれたような顔になる。

「え、なに、何でその顔になるの2人とも」

美咲のわかっていない様子に、あきれた表情のままでユウキが言う。

「あんたさ……
 そこであんたが何も答えなかったんじゃ、相手はちょっと困るんじゃない?」

「困るっつーか、不安になるよな。
 おい美咲、お前が不安がってる場合じゃねぇよ。
 不安なのはお前じゃなくて、むしろ向こうなんじゃねぇの?」

「え、え?」

「だからさ……
 好き? て聞かれて、例えば相手が恥ずかしがってたとするじゃん。
 で、照れ隠しに質問返ししたとする。
 それで答えかえってこなかったら、不安にもなるよなぁ。
 相手の方こそ、それでまさか答えが返ってこないなんて思ってないだろうし」

「あ、そっか。そうかも。
 えー、でも質問返しなんてズルい……」

「そこは許せよ。照れてんだから。
 で、お前はまた次の時にやり返せばいいじゃんか」

「その話題、美咲から振ったわけでしょ?
 それで美咲が何も答えられないって、それはなぁ……。
 少なくとも私なら不安にもなるね」

「……」

言われるまで気がつかなかった。
全くもって、2人の言う通りだ。
どうしよう。
真崎さんを不安にさせてしまった。
そう考えて、美咲の不安が増えた。

「……でさ、相手が不安になるのが普通の場面で、
 なんであんたが不安になったわけ?」

ユウキがアイスミルクを口にしながら尋ねてくる。

どうして不安になったのか。
それは、美咲自身でもうまく言葉にできない。
ただ、意外だったのだ。
マサキが自分の予想した通りの反応をしなかったことが。

別の感情や脳味噌を持った別の人間なのだから、
予想外の応えをされることなんて、むしろ当たり前の話だ。
けれど気になった。
小さなひっかかりを覚えてしまって、不安だった。

「で、その続きは?
 あんたたちそのあとどうしたのよ?」

「……『帰って来たら言うから』って言って、帰ってもらった」

待ちぼうけ食らわせてるのか!
しかも追い出したのか!
聞いた2人は再びあきれた顔になった。

「そりゃ早く帰ろうとも思うわね……」

美咲は素直に頷く。
そうなのだ。
帰って、そして、自分はマサキに伝えなければいけない。そう思っている。
ただ言えばいいだけ。やるべきタスクはそれだけだ。
それがすごく、どうしてだか難しいのだけれど。

一昨夜に言うのでも、少しも問題はなかったはずなのだ。
たったの数文字。
けれどそれを口にするのが、なんだか怖くて仕方がない。

「でさ、俺考えたんだけど。
 なんでお前が、突然そんなこと不安になるようになったのか。
 俺わかっちゃった気がするんだよね」

あきれた顔からニヤニヤした顔に戻って雄大が言う。
私にだってわかるわよ、とユウキもニヤニヤとしはじめる。
美咲だけがわからない。

「え、なに、なんで?」

どう言おうかと、ユウキと雄大とが顔を見合わせる。
口を開いたのはユウキだった。

「あんた、そのマサキさんのこと、
 本当に好きになったんだね」

「そりゃあ、うん。
 私、真崎さんのことは好……」

普通に言いかけて、
けれど途中から、ものすごい勢いで顔が熱くなってきてしまって、
(え、え、え?)
結局最後のほうの言葉はかすれてしまった。

(好き? 好き。好きって、……あぁ、そうか)

自分以外の人間に、言葉にして言われて鮮明になった。
そうだ。
これは、そうだそういうことなのだ。

(私、真崎さんのことが好きなんだ)

楽しい。一緒にいて落ち着く。くっついていて気持ちがいい。
それは理由ではなくて要素だ。
彼のことが好きで、だからそう感じる。
いつからそうなったのかはわからない。
ただ、そうなのだ。
それがわかった。
「赤い、赤い!
 うーわー、私こんなんなってる美咲みるの初めてかも!」

からかわないで、と言いたいけれど、
それどころではないような気持ちでいっぱいで、うまく喋れない。

「好き」という気持ち。
この感情は知らなかった。美咲には初めての感情だ。

誰かを好きになることが初めてだなんて、自分でも気づいていなかった。
今まで「好き」だと思っていた感情も、
たしかに、それは「好き」で間違いはないのだけれど、
今回のこの気持ちは、それらとどこか根本から違っている。
それがわかる。

(そうか……私、真崎さんのこと好きなんだ……)

不安な気持ちはなくならなかった。
本人に向かって「好き」と告げることを考えると、
不安どころか恐怖のような気持ちにさえなる。

けれど。

「……」

浮かんでくるのは、嬉しい情景ばかりだった。
自分がきちんと、言葉にしてそれを告げれば
彼は答えてくれるだろう。
顔を赤くして、ゆっくりと、控えめな笑顔をつくって。
きっと、自分の気持ちに応えてくれる。
そう思う。

マサキがどれほど美咲を大切にしているか、
どれほど大切にされているか、
それは鈍い美咲にでも感じられるほどだ。
だから想像できる。勝手に口角があがってしまいそうな応えを。

「ユウキー、見ろよこいつ。
 今度はこいつ、自分がニヤニヤしだしたよ」

「新鮮だね。この顔も私、はじめて見るわ」

ユウキと雄大が好き勝手なことを言い始めたけれど、
なんだか「好きに言っていてくれ」という気分だった。

(真崎さん、会いたいなぁ……)

不安も恐怖の様な気持ちも、少しも落ち着いてはくれていない。
けれど
今までで一番、彼に会うのが楽しみだった。



(to be continued...)

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comment

No title

  1. 2012/05/15(火) 12:12:17 |
  2. URL |
  3. TOM-F
  4. [ 編集 ]
おじゃましています、TOM-Fです。

更新、お待ちしていました。

今回は、2話連続ということなので、次のお話しを読ませていただいてから、感想を書かせていただきますね。

それにしても、美咲ちゃん、可愛らしいですねぇ。
続きが楽しみです。

TOM-F さん

  1. 2012/05/16(水) 22:49:19 |
  2. URL |
  3. 花舞小枝の春
  4. [ 編集 ]
TOM-Fさん、こんばんは!
ご無沙汰しておりました。春です・v・

いやぁ、本当に……すんごく間があいてしまって……。

お待ち頂いたとのこと、恐縮すぎてなんかもうすみません
ありがとうございます*><*

こんなに間開いていたのに
覗きに来て頂いて、とても嬉しいです。

そして、
更新してきました!!!

またどうぞよろしくお願いします*^^*

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