旅の空でいつか

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保護者・2 /リゾット

  1. 2011/07/02(土) 00:00:06|
  2. ★完結★ 『ハミングライフ』シリーズ
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みなさまこんばんは、春です・v・
『もののけ姫』観ました?
あらゆるしがらみと面倒ごとアレコレをひきうけると、アシタカ的人生がやってくるのですね。
まったくもって、ハタから見守りたいものです。

というか、
ヤックルのおしりにきゅんきゅんしてました。
犬の兄弟と仲良しになる所もスキ。
最初食われかけてたけどな!!!!


さて『ハミングライフ』です。
前回の続きです。
そして、また続きます。

ちょっとだけ長くなりそうです。
4くらいまで、かな……?
いっこいっこは短めだけれども。

ではでは、
どうぞ《続きを読む》よりおすすみください☆




***************


“みぃ”が小さいのをひとつ、ピアスが大きいのを1つ、”のっぽ”は2つの袋を抱えて3人で歩いた。
ピアスのあいた片手は、”みぃ”の片手とつながれている。

「ここまで、よく1人で運んできたな」

重量はそんなにはないとは言え、
大小異なるサイズの袋を4つ、というのは
なかなかに運びにくそうだ。

「いえいえ、ここまでは大きな袋2つに分けて持ってたんですよ。
 ピアスと”みぃ”が来てくれるから、2人を待っている間に袋詰めしなおしたんです」

あぁなるほどな、と納得しかけて、ふと気づく。

「……おれたちが来るって、なんでわかった?」

家主は「そういえば」といった風で頼んできたのに。

「運べなくはないですけど、一苦労ですからねぇ。
 この量の買い物でヒナタさんが、ピアスたちを迎えにこさせてくれないわけないだろうな、と」

本当は打ち合わせ済みだったのだけれど、”のっぽ”は「嘘はついていない」範囲で答える。

ピアスは今度こそ納得したようで「あのやろう」とつぶやいた。
うまい具合に使われているのが気に入らないらしい。
本気で怒っているのではないらしいことは、その表情でわかるけれど。

第一、「すずしくなってきたねぇ。きもちいいねぇ」と、
楽しそうな”みぃ”が隣にいるのだから、ピアスが極端に不機嫌になることはない。

「ピアスは、本当に”みぃ”と仲良しですよねぇ」

嬉しそうな顔をしたのは”みぃ”のほうで、
ピアスは「いまさら、それがどうした」といった表情だ。
その表情を読み取った上で、”のっぽ”が続ける。

「なんというかその、やっぱりちょっと意外で。
 めんどくさいこととか、一歩踏み込んでみるみたいなこととかが苦手で、
 そもそも好奇心もうすいピアスが、どうしてこう面倒見がいいのかな、と」

ずいぶんな評価だな、と”のっぽ”を睨みつける。
睨まれた理由に気づいて「しまったごめんなさい」と謝るけれど、
そうそう外れた評価ではないことを自覚しているため、ピアスも強くは怒れない。

「子どもが好き、なんですか?」

顔色を伺うように訪ねる”のっぽ”に「そういうわけじゃない」と答える。
どう答えていいのか、ピアス自身にも、よくはわからないのだけれど。

「……おれ、弟いんだよ。4歳違いの」

”のっぽ”は純粋に驚いた顔をする。
ピアスには弟が存在している、ということを、知らないわけではなかった。
”のっぽ”がヒナタ同様、自分の弟の存在を知っているだろうことは
ピアスにもわかっていた。
ただ、自らそれを言葉にしたのは初めてだった。

「もうあんまり、顔も覚えてないんだ。最後に見たときはそいつ、5歳だったから、
 たぶん今、もしどっかで見かけることがあっても、気づけないと思うし。
 向こうだっておれのことわかんないと思うし」

歩みがゆっくりになった。「家」までの距離は近い。
「話してもいい」と思っているからそのスピードになったのだろうかと、
頭の隅で”のっぽ”は思う。

「……ろくに、喋ったこともなかったんだ。
 喋るつーか、そもそも、あんまり顔あわせて一緒の部屋にいるみたいなこともなかったし。
 その程度の関わりしか、したことないんだけど。
 で、もうおれ、この先あいつに会うこともないんだろうけどさ」

”みぃ”は、不思議なものを見るような顔でピアスを見上げている。

「なんかそんな、他人みたいなもんだったんだけど、
 でももうきっと会えないとか考えたら、そしたらさ、
 会えてるうちに、もうちょっとおれ、がんばってもよかったのかもとか思ったんだよ」

「それは、……」

ピアスの幼い力では無理だっただろう、と言いかけて、口をつぐんだ。
けれど”のっぽ”が何を言いたかったのかわかってしまった様子でピアスは続ける。

「今から思えば、の話だから、おれにだってわかんねぇよ。やっぱダメだったかもしんないけど。
 でも、もしおれがもう少し、とか、考えちゃうんだよ。どうしても。
 だっておれ、……顔どころか、あいつの名前もちゃんと覚えてないんだ」

家が見えてきた。本当に、もうすぐだ。

「いつもニックネームで呼ばれてたから。それだけ。
 弟の本名なんて、誰に聞いていいかもわかんなかったし」

ピアスがちら、と視線を向けると、”みぃ”は相変わらず、不思議そうな顔でピアスを見上げている。
そのふっくらとした、つつきたくなるような頬を見て、ピアスの顔が少し緩んだ。

「……だからさ、とりあえず、
 一緒にいて顔みて話したりできてる間はさ、そういうこと、ちゃんとしときたいなと思ってんだ」

少しだけ表情の柔らかくなったピアスに、ほっとしたように”みぃ”が笑いかけた。

「ピアスは、その弟さんに会いたいんですか?」

頷かない。迷う事なく首を振った。

「そういうわけじゃない。今のは全部、もしもの話だ。
 今は、……今も、ずっと、ただの他人だ」

歩みがもとのスピードに戻る。少しだけ足取りが軽くなっている。
家に、帰ろう。

ドアに手をかけたピアスに
「……あれ、でもそれにしてはピアス、ぼくとヒナタさんへの当たりちょっときつくないですか?」
と言いたくなったけれど、”のっぽ”はかろうじてこらえる。
それがピアスなりの「友好の姿勢」なことくらいは、さすがにわかっている。
下手に突っついて、もっと下手な意地をはらせることもないだろう。

「ただいまーーー!」

開いたドアの隙間から、まっさきに”みぃ”が入っていく。

「帰りましたぁ」
「戻ったー」

屋内の風通しをよくするために、ドアは少しあけたままにしておく。

「おかえり」

家主が玄関まで迎えにきて、”みぃ”とピアスの持っていた袋を受け取った。

「あいつらは?」カリンとコウのことだ。

「リビングにいるよ。今おやつ食ってる。手洗ったら、一緒に食べたらいいよ」

”みぃ”がダッシュで洗面所にかけこんだ。ピアスもそのあとに続く。
2人が奥に行ったのを確認してから家主は言う。

「……とりあえず、”みぃ”にはもう話そうと思うんだけど。
 で、なんだかんだその場にはピアスもいた方がいいだろうな、と。今は、そう思ってる」

「……ヒナタさん、一本行きますか?」
家主は「まぁ今は大丈夫そうだ」と苦笑して答える。

「一緒にいられる間は、って、彼、そういう言い方していました」

前後の会話はわからないけれど、
ピアスの、それが”みぃ”への気持ちなのだということは家主にもわかった。

「どっかで、いつかそうではなくなることを、わかってるんだと思います。
 だからもう、あとは仕方ないというか……大丈夫だと、思いますよ」

そうか、と一言だけ家主は答える。

「”のっぽ”も手あらって来いよ。あいつらに全部食われる前にな。
 とりあえず、茶でも飲んでさ。……大事な話は、それからだ」

「そうですね」
答えて”のっぽ”も洗面所に向かう。
リビングからは、”みぃ”のはしゃいだ声が聞こえてきた。

短く息を吐き出してから、家主もリビングへと戻っていった。



(to be continued...)


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